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【一週一話】アザラシ型ロボット・パロによるロボットセラピー

No.4726 (2014年11月22日発行) P.51

柴田崇徳 (産業技術総合研究所主任研究員,東京工業大学連携教授,マサチューセッツ工科大学客員フェロー)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-03-16

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  • アザラシ型ロボット・パロは,人との身体的な触れあいにより,動物や赤ちゃんなどとの触れあいを人に連想・想起させる。これが人の身体や脳への刺激となり,「神経学的セラピー」として,子どもから高齢者まで,医療福祉施設,在宅,学校などで,心理的にはうつの改善,不安や痛みの軽減,元気づけ・動機づけなど,生理的にはストレスの軽減,血圧の低下など,社会的にはコミュニケーションの活性化やきっかけなどの効果をもたらす。

    もともとアニマルセラピーを参考に1993年から研究開発を行い,世界各地の医療福祉施設などで各種機関と連携して,ランダム化比較試験(RCT)などで臨床試験や治験を行い,有意な効果を示した1)。認知症に対しては,徘徊,暴力,暴言などの周辺症状を抑制することで各種抗精神病薬の服薬を減量する。パロには副作用がない。また,認知症高齢者の良い状態をつくりだすことから,介護者の介護負担を軽減する。そのほか,自閉症などの発達障害者の行動や社会的スキルの向上などに効果がある。がん患者に対しては,たとえば化学療法時にパロと触れあうことで,痛み,不安,疲れを有意に軽減化する。

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