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高齢者の不眠 × 酸棗仁湯[漢方スッキリ方程式(41)]

No.5024 (2020年08月08日発行) P.14

平田和美 (市立砺波総合病院精神科緩和ケア科部長)

登録日: 2020-08-06

最終更新日: 2020-08-06

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高齢者の不眠に対し安易に睡眠薬を使用するとせん妄や転倒,嚥下障害などの副作用を呈することがある。一方,保険適用で不眠症に使える漢方薬は,このような副作用を惹起することなく,良好な睡眠へと導き,せん妄の改善効果を発揮したり,同時に認知症予防効果が期待できたり,翌日の気力や活力を増進させたり,胃腸の調子を整えたり,むくみが取れることもあり,一つの漢方薬で多数の効果を上げる可能性がある。

この症例では鎮静効果が比較的強い酸棗仁湯を使用することにより,日中の徘徊が減少し,良眠が得られるようになり,易怒性は軽快した。

構成生薬の薬理作用で使い分けを

不眠に対する漢方薬の使い分けとして,構成生薬の薬理作用に着眼すると患者により適した有効性の高いものが選択できる()。

 

酸棗仁湯は,酸棗仁という比較的鎮静作用が強く,補血作用を持つ生薬の配合が多く,貧血を伴うような血虚の病態の人に効果的である1)

帰脾湯は,酸棗仁の配合は減るが,人参,黄耆という,気を補い体力を増進させる効果が期待できる生薬が配合されているため,倦怠感が強い不眠に有効である。また遠志による抗認知症効果も期待できる。

加味帰脾湯は,帰脾湯に,柴胡と山梔子を加えたものであり,鎮静,解熱,消炎作用により神経の興奮を抑え,不眠を改善すると同時に不安を軽減する効果が強い。

抑肝散は,釣藤鈎,柴胡により鎮静作用と筋緊張を緩める効果が強く,茯苓,白朮(蒼朮)の利尿作用や静穏作用とともに易怒性や不眠を改善する。

抑肝散加陳皮半夏は,抑肝散に陳皮,半夏という消化器系を整える生薬が配合されていることから,胃腸障害,食欲不振を伴う症例に効果的である。


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