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真性赤血球増加症[私の治療]

No.4986 (2019年11月16日発行) P.53

桐戸敬太 (山梨大学医学部血液・腫瘍内科学教授)

登録日: 2019-11-16

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  • 真性赤血球増加症は,骨髄増殖性腫瘍の一病型であり,赤血球系細胞を主体として3系統の血球増加を示す。ほとんどの症例は,JAK2遺伝子変異を有している。血液腫瘍としての予後は比較的良好であるが,血栓症の発症リスクが高い。

    ▶診断のポイント

    検診や他疾患の診療中に,偶然に赤血球増加を認めたことをきっかけに診断に至ることが多い。血栓症の発症後に診断される場合もあり,特にBudd-Chiari症候群など腹腔内静脈の血栓性疾患を認めた場合には,潜在的な真性赤血球増加症の合併について検索するべきである。

    診断は改訂WHO分類第4版に従う。男性では,Hb 16.5g/dL以上,女性ではHb 16.0g/dL以上を診断基準としている。95%以上の症例はJAK2変異を有していることから,JAK2遺伝子変異(JAK2V617F変異およびExon12変異)を確認することが必須である。また,慢性骨髄性白血病を除外するために,フィラデルフィア染色体異常もしくはBCR-ABL融合遺伝子を持たないことを確認することが必要である。ほかの骨髄増殖性腫瘍との鑑別および骨髄線維化レベルの評価のために,骨髄生検を行う。血清エリスロポエチン濃度は低下していることが多く,エリスロポエチン産生腫瘍に伴う赤血球増加症との鑑別に有用である。

    全身症候の評価は,MPN-SAF TSS(myeloproliferative neoplasm symptom assessment form total symptom score)などのチェックシートを用いて行う。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    真性赤血球増加症治療の目標は,腫瘍としての寛解・治癒ではなく,血栓・出血合併の予防および瘙痒感や倦怠感などの全身症候への対処である。また,一部の症例では症候性の脾腫を伴う場合があり,この場合には脾腫を軽減させる治療が必要となる。

    まず,喫煙者であれば禁煙の指導を行う。糖尿病,高血圧症および脂質異常症を併発している場合には,これらの疾患の管理を厳密に行う。血栓・出血の合併の予防のための治療としては,まずリスク評価を行い,リスクに応じた治療方針を組み立てる。一般には,血栓・出血の既往歴の有無および年齢,の2項目に基づいてリスク評価が行われる。血栓・出血の既往歴がなく年齢が60歳未満の場合には低リスクとし,それ以外は高リスクとする。

    低リスク群では,低用量アスピリンの使用と瀉血によるヘマトクリットの低減をめざした治療を行う。ヘマトクリットのコントロール目標値としては,45%未満とする。瀉血により倦怠感,爪の異常,異味症あるいは,むずむず脚症候群などの鉄欠乏の症状が強くみられる場合には,低リスク群であっても細胞減少治療の併用を考慮する。高度の白血球増加(2~2.5万/μL以上)あるいは血小板増加(150万/μL以上)を伴う場合にも,細胞減少治療を考慮する。

    高リスク群では,上記治療に加えて細胞減少治療を行うことが推奨される。細胞減少治療薬としては,ヒドロキシカルバミドを用いることが一般的である。皮膚粘膜障害や発熱などによりヒドロキシカルバミドが使用できない場合や,ヒドロキシカルバミドで十分な血球減少効果が得られない場合には,二次治療としてルキソリチニブもしくはブスルファンを用いる。ルキソリチニブ使用時には,帯状疱疹やB型肝炎の再活性化,結核の顕在化などの感染症リスクに注意が必要である。投与前にB型肝炎および結核の罹患の有無について検索を行う。ブスルファンには二次発がんリスクがあるため,若年者への使用は避けることが望ましい。

    全身症候が強い場合や症候性脾腫を合併している場合には,ルキソリチニブを用いる。

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