株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

後天性血友病Aの免疫抑制療法について

No.4968 (2019年07月13日発行) P.56

冨山佳昭 (大阪大学医学部附属病院輸血部病院教授)

日笠 聡 (兵庫医科大学血液内科講師)

登録日: 2019-07-10

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 最近,後天性血友病Aに遭遇する機会が増えてきています。免疫抑制療法は基本的にはステロイド1mg/kgで開始しますが,出血症状は消失しているものの,インヒビターの低下に時間がかかる場合を多く経験します。この場合,シクロホスファミド500mg/日のパルス療法を併用する場合も多いのですが,ステロイドにてインヒビターの低下反応が悪い場合どのようにされていますか。また,どの程度の数値になれば外来での診療が可能になりますか。兵庫医科大学・日笠 聡先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    冨山佳昭 大阪大学医学部附属病院輸血部病院教授


    【回答】

    日本血栓止血学会が発行している「後天性血友病A診療ガイドライン」では,免疫抑制療法は,「プレドニゾロン(PSL)単独投与もしくはPSLとシクロホスファミド(CPA)の併用療法とし,PSLの初期投与量は1mg/kg/日,CPAは1~2mg/kg/日の経口投与を基本とする」とされています。したがって,PSLとCPAは最初から併用してもかまいません。ただし,最近CPAについては,長期間の経口投与は合併症併発のリスクが高いと推定されることから,パルス療法が選択されることが増えていると思われます。

    治療効果は,第Ⅷ因子活性(FⅧ:C),インヒビター力価および活性化部分トロンボプラスチン時間(activated partial thromboplastin time:APTT)を治療開始当初は週1回(データ改善後は1~2週に1回程度)測定して判定していきますが,薬剤の追加・変更は,治療開始3~5週間後の検査結果と出血症状によって判断することになります。

    残り797文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    関連求人情報

    関連物件情報

    もっと見る

    page top