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貧血を主症状とする低リスク骨髄異形成症候群の治療方針は?

No.4963 (2019年06月08日発行) P.51

下田和哉 (宮崎大学医学部内科学講座消化器血液学分野教授)

三谷絹子 (獨協医科大学血液・腫瘍内科教授)

登録日: 2019-06-07

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  • 60歳代,男性。ヘモグロビン(hemoglobin:Hb)7g/dL,好中球数1200/μL,血小板数10万/μL程度と,貧血を主症状とする低リスク骨髄異形成症候群の初回治療方針について。輸血歴はなく,骨髄細胞の染色体分析では5qは認めず,血清エリスロポエチン値は800U/mLです。獨協医科大学・三谷絹子先生に回答をお願いします。

    【質問者】

    下田和哉 宮崎大学医学部内科学講座消化器血液学分野教授


    【回答】

    【輸血,サイトカイン療法,蛋白同化ステロイド,免疫抑制療法等が推奨される】

    低リスク骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndromes:MDS)は,高リスク群と異なり近い将来白血病に移行する可能性が低く,長期間にわたり造血不全の状態で経過することが予測されるため,造血幹細胞移植による治癒を目指す治療法が適応となることは少ないです。日本血液学会「造血器腫瘍診療ガイドライン2018年版」では,輸血,サイトカイン療法,蛋白同化ステロイド,免疫抑制療法,レナリドミド,アザシチジンが推奨されています。

    本例は自覚症状のある貧血があるため,支持療法としての赤血球輸血の適応となります。輸血療法を繰り返す必要がある場合には,輸血後鉄過剰症を回避するために,フェリチン値が1000ng/mLを超えた時点で,経口鉄キレート薬の投与を検討して下さい。

    サイトカイン療法としては,ダルベポエチンの適応となりますが,本例は血清エリスロポエチン値が高いため,奏効が得られる可能性は低そうです。しかし,ダルベポエチンは比較的副作用が少ない薬物であり(高血圧には注意が必要です),効果の有無が1カ月程度で判定できるため,試みてもよい治療であると考えられます。

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