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多発性骨髄腫の新規治療薬

No.4933 (2018年11月10日発行) P.52

山本 豪 (虎の門病院血液内科医長)

登録日: 2018-11-07

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【近年,続々と登場。治療成績はしだいに向上している】

近年,多発性骨髄腫の新規治療薬が次々と登場している。現在までに,新規治療薬として,プロテアソーム阻害薬(ボルテゾミブ,カルフィルゾミブ,イキサゾミブ),免疫調節薬(サリドマイド,レナリドミド,ポマリドミド),ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬(パノビノスタット),抗体薬(エロツズマブ,ダラツムマブ)の9剤がわが国で発売されている。

最近登場したダラツムマブは,CD38に対する抗体薬である。再発または難治性の多発性骨髄腫患者に対して,ダラツムマブ,レナリドミド,デキサメタゾンの併用療法と,レナリドミド,デキサメタゾンの併用療法とを比較した試験1),ダラツムマブ,ボルテゾミブ,デキサメタゾンの併用療法と,ボルテゾミブ,デキサメタゾンの併用療法とを比較した試験2)のいずれでも,ダラツムマブ群で有意に良好な無増悪生存率および奏効率が得られている。

新規薬剤の登場などにより,多発性骨髄腫の治療成績はしだいに向上している。しかし,現在までのところ,化学療法では完治は困難であると考えられている。今後は,さらに新たな作用機序の薬剤の開発が期待されるとともに,様々な薬剤をどのように組み合わせ,どのような順番で用いるかを検討していく必要がある。近い将来に多発性骨髄腫が化学療法で完治可能となることが期待されている。

【文献】

1) Dimopoulos MA, et al:N Engl J Med. 2016;375 (14):1319-31.

2) Palumbo A, et al:N Engl J Med. 2016;375(8): 754-66.

【解説】

山本 豪 虎の門病院血液内科医長

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