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PIVKA-Ⅱ高値の際の注意点は?

No.4929 (2018年10月13日発行) P.61

鎌田佳宏 (大阪大学大学院医学系研究科機能診断科学 准教授)

三善英知 (大阪大学大学院医学系研究科機能診断科学 教授)

登録日: 2018-10-14

最終更新日: 2018-10-09

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2014年から毎年PIVKA-Ⅱ(protein induced by vitamin K absence or antagonist-Ⅱ)が高値の症例があります。14年は41mAU/mL。その後は63,69,77で,今年は70mAU/mLでした。ウイルス肝炎,非アルコール性脂肪肝炎(non-alcoholic steatohepatitis:NASH)などの慢性肝疾患はなく,α-フェトプロテイン(AFP),AFP-L3分画,CEA,CA19-9,肝機能はすべて正常です。2014年から毎年腹部CTを行っていますが,肝臓その他に腫瘍陰影は認められません。
このようなPIVKA-Ⅱ高値はどのように考え,注意して経過をみていけばよいのでしょうか。

(静岡県 K)


【回答】

【肝臓癌でなくとも,PIVKA-Ⅱは上昇することがある】

PIVKA-Ⅱはdes-γ-carboxy prothrombin(DCP)とも呼ばれ,肝臓で合成される凝固活性を持たない異常プロトロンビンで,肝癌の腫瘍マーカーとして有用であることが1984年に報告されました1)。ビタミンK欠乏下で,プロトロンビンのアミノ酸残基が変異することにより生成されます。

肝癌の腫瘍マーカーとしてわが国では保険収載されていますが,肝癌のステージ進展に伴い血中濃度が上昇します。感度は15~50%程度,特異度は95~99%と特異度が高いことが知られています。また,同じく肝癌腫瘍マーカーであるAFPと血中濃度に相関がないことが特徴です。肝癌以外でも上昇することがあります。ワルファリン内服時,N-メチルテトラゾールチオール基(N-MTT基)を持つ抗菌薬内服時,閉塞性黄疸時ではビタミンKの欠乏が起こり,血中PIVKA-Ⅱ値が上昇します。また,アルコール多飲者でも上昇することがあります。

本症例の場合,ウイルス肝炎,NASHなどの慢性肝疾患はないにもかかわらず,なぜPIVKA-Ⅱを測定されたのでしょうか。上記のようにアルコール性肝障害でもPIVKA-Ⅱは上昇するので,もしそうである場合は,PIVKA-Ⅱ値を毎年フォローアップし,上昇がある際は画像検査にて肝癌の有無について精査するのがよいと思われます。PIVKA-Ⅱのカットオフ値は40mAU/mLで,肝癌患者においては経時的に増加していくことが典型的です2)。また,測定法によって数値が異なる場合があります。

本症例ではPIVKA-Ⅱ値の軽度高値が持続していますが,2015年以降は値がほぼ横ばいで,上昇傾向がありません。また,本症例では画像検査でも肝臓その他に腫瘍陰影を認めず,PIVKA-Ⅱ高値の原因は肝癌ではないものと考えます。

さらに,最近の肝癌のバイオマーカーとして性別(Gender),年齢(Age),AFP-L3,AFP,DCP(PIVKA-Ⅱ)の5因子によるGALADスコアのほうが,単独マーカーよりも感度,特異度が有意に優れているという報告があるので,慢性肝疾患の場合は,こうしたフォローアップの方法もあります3)

【文献】

1) Liebman HA, et al:N Engl J Med. 1984;310 (22):1427-31.

2) Kudo M, et al:Dig Dis. 2011;29(3):339-64.

3) 三善英知, 他:肝臓クリニカルアップデート. 2017; 3(2):121-8.

【回答者】

鎌田佳宏 大阪大学大学院医学系研究科機能診断科学 准教授

三善英知 大阪大学大学院医学系研究科機能診断科学 教授

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