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機能性ディスペプシア × 六君子湯[漢方スッキリ方程式(17)]

No.4920 (2018年08月11日発行) P.14

富永和作 (大阪医科大学先端医療開発学講座)

登録日: 2018-08-10

最終更新日: 2018-08-07

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胃もたれとは,胃・十二指腸の運動機能障害により食物・ガスなどが残る感覚であり,心窩部に感じる腹部膨満(感)と類似のものである。したがって,消化管運動機能に影響を与える薬剤が有効とされる。

六君子湯は,胃運動機能の貯留・排出の両面に影響し,機能性ディスペプシアなどの症状改善に有効な漢方薬である1)。半夏厚朴湯にも腹痛,消化不良,便秘の改善効果がある2)。しかし,機能性消化管疾患診療ガイドライン2014では,漢方薬治療は初期治療(酸分泌抑制薬,消化管運動機能改善薬)が奏効しなかった場合の二次治療として提案されているにすぎない3)。漢方薬すべてに効果があるわけではなく,個々の漢方薬に対する有効・無効の症例選択が重要となる。

症状(証)に合わせた治療選択を

痩せた女性,高齢者で,寒がり・冷え性(手足の冷感),振水音(ポチャポチャとした音)を有し,腹壁が薄く胃もたれを訴える場合,六君子湯が効果的で,第二選択は人参湯と半夏瀉心湯である。冷えがある寒証には人参湯が,腹痛・月経痛を伴う場合には安中散が用いられる。暑がりでのぼせやすく,冷たい食物を好むような実証・熱証には半夏瀉心湯が効果的である。

胃痛の場合,腹力が弱い人は虚証,強い人は実証とされ,実証の場合,半夏瀉心湯を使用する。効果の乏しい熱証の場合には黄連解毒湯が推奨される。また虚実中間証で,咽喉頭異常感や腹部膨満感が強く,ストレスが関与し神経症的傾向がある方には「気」に関係する厚朴・蘇葉を含む半夏厚朴湯が良い適応となる。茯苓飲は半夏厚朴湯としばしば合わせて用いられる。「右脇や左脇が,肋骨弓下を中心に詰まるような感じがする」との訴えには柴胡剤が有効とされ,柴胡桂枝湯,柴胡桂枝乾姜湯などが推奨される。

  

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