株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

バイオシミラーの臨床導入─現場で何が課題になっているのか【まとめてみました】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • prev
  • 「使用促進の前に、まずは医療従事者の認知度を上げたい」

    飯村康夫 厚労省医政局経済課ベンチャー等支援戦略室長に聞く


    ─バイオシミラー(BS)普及のために厚労省としてどのような取り組みをしているか。

    BSについてはジェネリック医薬品に比べて認知度が低く、医療関係者にもまだなじみがないという状況。まずはBSとはどのようなものか正しく理解いただくことから始めようということで、2018年度から3000万円の予算を確保し、BSの科学的評価、品質等について医療従事者や国民に普及を図るための講習会の開催などを実施している。

    その中で、インフリキシマブなどを例に、バイオ製品は先行品でもBSでも製造ロットによって生物活性などにわずかなばらつきがあり、先行品のばらつきの範囲内にBSのばらつきも収まるように努力していることなどを説明している。

    ─BSの普及率は?

    現在、国内では9種類のBSが承認されているが、普及率には大きな差がある。包括払いのDPCが適用されるフィルグラスチムや、患者の自己負担が大幅に減るエタネルセプトはBSへの置き換えが進んでいるが、インフリキシマブやソマトロピンのように金銭的なインセンティブが働きにくいものはなかなか進まない。

    インフリキシマブについては、特許期間中でBSがまだ取得していない効能(ベーチェット病による難治性網膜ぶどう膜炎など)があることも、病院での採用が増えない要因になっているという指摘もある。

    ─日本人のデータが少ないことはネックになっていないか。

    人数は少ないが、BSは日本人を対象とした臨床試験も実施して承認されている。「BSを使ったら効かなくなった」「副作用が出た」という話は聞いていないので、おそらく実際に使用している医師は、問題ないという感触をお持ちだと思う。

    ─国内での普及状況についてデータはないか。

    金額ベースになるが、2017年度のBSのシェアは16.6%で、置き換え効果額は87億円というデータは公表している(図)。

    BSについてもジェネリックと同じように数値目標を立てるべきという議論はあるが、まだ分母も分子も小さく、ブレが大きいため、ジェネリックのように安定的な数値が出せる状況ではない。理解が進んでいない中で強引に使用促進をすると反発もあるので、まずは認知度を上げていきたい。

    今年度の講習会は主に薬剤師向けに実施しているが、医師会からの要望もあるので来年度は医師向けの講習会も実施したい。その中では、BSを使っている臨床医に実際に使用した結果などについて語っていただきたいと考えている。

  • prev
  • 関連物件情報

    もっと見る

    page top