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認知症の在宅診療に対する精神科の取り組み【正しい診断と適切な対処法の伝達,行動・心理症状(BPSD)の悪化抑制,介護者のサポートが三本柱】

No.4874 (2017年09月23日発行) P.56

成本 迅 (京都府立医科大学大学院医学研究科精神機能病態学教授)

内田直樹 (たろうクリニック院長)

登録日: 2017-09-24

最終更新日: 2017-09-19

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  • 認知症の人が在宅で少しでも長く暮らすためには,入院・入所の原因になる精神症状を在宅で治療していくことが求められています。認知症の在宅診療に対する精神科の取り組みについて,たろうクリニック・内田直樹先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    成本 迅 京都府立医科大学大学院医学研究 精神機能病態学教授


    【回答】

    現在の在宅医療の大半は高齢者を対象としており,在宅医療において認知症診療は重要な位置を占めています。このため,在宅医療における精神科医の役割は多岐にわたっています。

    1つ目の役割は,認知症診断をきちんと行うことです。アルツハイマー病,血管性認知症,レビー小体型認知症,前頭側頭型認知症といった四大認知症をきちんと診断し,各診断に合わせた対応法や経過,予後の見立てを伝えることは,認知症診療に慣れた医師でなければ難しいことが多いです。

    2つ目の役割は,行動・心理症状(behavioral and psychological symptoms of dementia:BPSD)への対応を精緻に行うことです。認知症患者の介護者が最も介護負担を感じる要因としては,BPSDの悪化による影響が大きいと言われています。また,せん妄の悪化やBPSDのために訪問診療が困難と判断されることも稀ではありません。このため,精神科医が対応しBPSDの治療を在宅や施設で行うことは,認知症患者が住み慣れた場所で生活することへのサポートにつながります。症状が起きている現場に実際に行き,BPSDが生じる仕組みを解明し環境調整を行うことは,BPSDの症状緩和を図るためには重要ですし,実際の対応方法を自宅で介護者に指導することも有効です。

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