労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)は15日、時間外労働の上限規制や産業医機能の強化などを盛り込んだ「働き方改革関連法案」の要綱を了承し、加藤勝信厚労相に答申した。法案は与党の審査を経て今秋の臨時国会へ提出される。
同法案では、長時間労働抑制のため、労働基準法を改正し、時間外労働の上限を原則「月45時間、年360時間」と明記。繁忙期などの特例でも「年720時間」を上限と定め、違反には罰則を科す。一方で、一部の専門職を時間外労働規制の適用除外とする「高度プロフェッショナル制度」の創設など、現在国会で継続審議中の法改正案の内容も一括して盛り込んだ。
また、過重労働・過労死防止に向けては、労働者の健康確保措置を充実させるため、労働安全衛生法を改正。事業主に対する産業医の勧告の実効性を強化する。法施行は2019年4月を予定している。
医師、建設業、自動車運転業については、業務の特殊性を考慮して、時間外労働規制の対象に含めつつ、法施行5年後をメドに適用することとしている。
15日に開かれた同審議会の労働条件分科会では、労働者側委員が医師の労働に関して「勤務医はタイムカードによる労働時間管理さえなされていないケースがある」として、客観的な手法による労働時間把握の徹底を主張。使用者側委員は、産業医について「特に地方ではなり手不足が起こっている」と述べ、産業保健総合支援センターの機能強化を課題として指摘した。