認知症診療は,予防医学の段階に入りつつある。さらに,前認知症段階として提唱されている軽度認知障害(MCI)をきたす者は2012年で約400万人存在すると推計されており,一般診療においては初診時に当人や家族を含めて十分に問診を行い,記憶力検査などを実施することが欠かせない。
本特集では,MCIを「物忘れ外来」から診断し認知症を予防するためのポイント,血管性認知症(VaD)およびアルツハイマー病(AD)の発症メカニズムを考慮し診断する重要性,さらに簡便で有用なADAS-JCogの10単語再生課題やMRIなどを加えた診療による,より認知症に移行しやすい群の特徴のとらえ方などを,エキスパートに概説頂いた。今後,MCIを診療する上で参考になれば幸いである。
1 MCIの病態と診断
国立病院機構大牟田病院院長 藤井直樹
2 MCIの治療および対応について
久留米大学医学部神経精神医学講座講師/同大学高次脳疾患研究所 小路純央
久留米大学医学部神経精神医学講座/同大学高次脳疾患研究所教授 森田喜一郎
3 当科におけるアルツハイマー病の早期発見 ─MCIとの関連
久留米大学医学部神経精神医学講座/同大学高次脳疾患研究所 山下裕之
久留米大学医学部神経精神医学講座/同大学高次脳疾患研究所教授 森田喜一郎