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シャルコー・マリー・トゥース(CMT)病の診断と治療【CMT病遺伝子診断の進歩と治療に関する知見】

No.4858 (2017年06月03日発行) P.53

安藤匡宏 (鹿児島大学神経内科)

登録日: 2017-05-30

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シャルコー・マリー・トゥース(CMT)病は最も頻度の高い遺伝性末梢神経疾患である。最も多い遺伝子異常はPMP22遺伝子の重複であるが,CMT病の原因遺伝子は多岐にわたり,80以上の原因遺伝子が報告されている。

保険適用されている検査は,FISH(fluorescence in situ hybridization)法によるPMP22遺伝子重複/欠失の確認のみであるが,研究レベルでそのほかのCMT病原因遺伝子の検査が行われている。次世代シークエンサーをはじめとした遺伝子診断技術の進歩は,診断率向上をもたらすとともに,毎年CMT病の新たな原因遺伝子を同定している。2016年にはMME遺伝子(高齢発症軸索型CMT病)1),DGAT2遺伝子(若年発症軸索型CMT病)が新規の原因遺伝子として報告された。

治療効果が証明された治療薬はいまだないのが現状であるが,PXT3003(バクロフェン,naltrexone,ソルビトールの合剤),クルクミン,ニューロトロフィン3(神経栄養因子),ニューグレリン1(上皮細胞増殖因子)などに治療効果が期待されている。

また,CMT病の診療においては,神経障害を悪化させる薬剤を可能な限り避ける必要がある。避けるべき薬剤はCharcot-Marie-Tooth Associationのホームページ2)や『シャルコー・マリー・トゥース病診療マニュアル』にて確認できるので,参照されたい。

【文献】

1) Higuchi Y, et al:Ann Neurol. 2016;79(4):659-72.

2) Charcot-Marie-Tooth Association. [https://www.cmtausa.org/]

【解説】

安藤匡宏 鹿児島大学神経内科

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