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創内持続陰圧洗浄療法による重度感染創の治療【局所陰圧閉鎖療法の普及で相加・相乗効果】

No.4852 (2017年04月22日発行) P.54

清川兼輔 (久留米大学形成外科・顎顔面外科主任教授)

登録日: 2017-04-19

最終更新日: 2017-04-17

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外傷や手術後の感染創では,感染の程度が重度になるほどそのコントロールは困難となり,創は難治性となる。また,時に敗血症を起こし死に至ることもある。このような感染創の最も重要な治療法は,創を頻回に洗浄することである。整形外科領域では,以前より難治性の骨髄炎に対して24時間連続して創の洗浄を行う持続洗浄療法が行われており,既に保険適用もされている。一方,創傷治療の画期的な治療法として近年局所陰圧閉鎖療法(NPWT)が広く普及しており,2010年にはこの治療法も保険適用された。

筆者らが開発した方法は,これら2つの治療法(持続洗浄とNPWT)を同時に24時間連続して行う方法である1)。これらを同時に行うことで2つの治療法の相加・相乗効果が得られ,縦隔炎などの重度の感染創でも治癒させることが可能となった2)

重度感染創の治療における本法の利点は,①治癒率の向上(たとえば,現在でも死亡率が50%以上とされている心臓手術後の縦隔炎の治癒率が90%以上に2)),②治療(入院)期間の短縮(治癒までの期間が1/3~1/2以下に),③労働力(医師や看護師)および医療材料の削減,④②と③による医療コストの大幅な削減,の4点である。

本法は,患者だけでなく医師や看護師および病院(経営)のいずれにとっても有効な治療法であり,今後,重度感染創の治療法として第一選択とすべき治療法と考えられる。

【文献】

1) Kiyokawa K, et al:Plast Reconstr Surg. 2007; 120(5):1257-65.

2) Morinaga K, et al:J Plast Surg Hand Surg. 2013;47(4):297-302.

【解説】

清川兼輔 久留米大学形成外科・顎顔面外科主任教授

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