(質問者:千葉県 K)
TGは,血中では2層構造を示すリポ蛋白の芯の部分に存在します。リポ蛋白のTGの割合は,リポ蛋白の直径が大きくなるほど高く,カイロミクロンで最大(重量比で約85%)です。カイロミクロンは,食事中の脂質が小腸で吸収され,これらを材料として小腸上皮細胞で合成されます。リンパ液へ放出されたカイロミクロンは,最終的に胸管を通って,左静脈角から静脈へ流入します。血管内皮に結合しているリポ蛋白リパーゼは,カイロミクロンや超低比重リポ蛋白(VLDL)のTGを分解します。こうして生じたカイロミクロンレムナントは,アポリポ蛋白Eを認識するリポ蛋白受容体に結合し,主に肝臓へ取り込まれます。
分離したカイロミクロンを静脈内へ投与すると,その血中半減期は数分から15分程度しかありません。しかし,実際の血中カイロミクロン濃度は,小腸での脂肪吸収速度,小腸上皮細胞でのカイロミクロン合成速度,血中での異化速度などが複雑に絡み合って決まります。脂肪負荷試験では,血中カイロミクロン濃度は,脂肪投与後の数時間は上昇します。糖尿病や冠動脈疾患患者では,健常人よりTG値のピーク出現が遅く,持続時間も長いとされています。その程度は,カイロミクロン代謝の遅延を反映します。健常人が通常の食事を摂取した場合,食後12時間以上経ってもカイロミクロンが残ることはありません。
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