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健康日本21のデータヘルス計画と慢性腎臓病(CKD) 【CKDは高血圧や糖尿病よりも,強力なCVDのリスクファクター】

No.4794 (2016年03月12日発行) P.46

山縣邦弘 (筑波大学腎臓内科教授)

登録日: 2016-03-12

最終更新日: 2016-10-26

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わが国は世界有数の長寿国であると同時に,高齢者人口の急速な増加がある。慢性腎臓病(CKD)は,加齢とともに増加するため,わが国のCKD患者数は今後も増加し続けていくことが予想される。加齢により増加するCKDの原疾患は,糖尿病,腎硬化症といった,動脈硬化とも密接に関連した疾患が主体である。したがって,CKDは主に動脈硬化により発症する心血管疾患(CVD)の危険因子としても重要であり,CKD対策を行うことは,生活習慣病,メタボリックシンドローム対策とも直結し,わが国をはじめ世界的にもきわめて重要な疾患として認識されている。もちろんCKDが重症化,進行すれば末期腎不全(end stage kidney disease:ESKD)に進展する。実際CKDが世界的に注目された背景には,CKDがESKD進展のリスクとしてだけでなく,CVDの発症リスクとして,従来から知られている高血圧や糖尿病よりも,より強力なリスクファクターであることが明らかとなったことがある。
このような中で健康日本21(第二次)が公表され,その目標が示された。すなわち,特定健診,特定保健指導の実施率を向上させ,高血圧を改善し,脂質異常症を減少させ,糖尿病有病者の増加を抑制し,その結果として脳血管疾患死亡率の減少,糖尿病性腎症による新規透析導入患者数の減少をめざす,とされている。これは,まさしくCKD対策をしっかり実施することにほかならない。
現在,各市町村ではデータヘルス計画の具体案の作成が行われているところと聞くが,この策定にCKDの治療を専門とする腎臓内科医の果たすべき役割が数多くあると思われる。

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