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MRIを用いた動脈硬化性プラーク イメージング

No.4738 (2015年02月14日発行) P.61

大田英揮 (東北大学病院放射線診断科)

登録日: 2015-02-14

最終更新日: 2016-10-26

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冠動脈,頸部頸動脈や末梢動脈の動脈硬化性変化における,外科的あるいは血管内治療の適応は,血管内腔の狭窄度に基づいて決定されるのが標準的である。しかし,動脈硬化性病変の重症度を反映する指標は,必ずしも動脈内腔の狭窄度のみではない。近年,動脈硬化性プラークの破綻と,それに引き続く血栓形成が虚血イベントの原因の1つである可能性が示唆されてきており,破綻しやすい不安定なプラークを同定することが重要視されている。プラークを画像化するモダリティーとして,MRI,CT,超音波などが用いられているが,その中でもMRIは組織コントラストが非常に高く,空間分解能も1mm程度と高いため,プラーク内にある複雑な構成要素を評価することに適している。
頸部頸動脈においては,複数の撮像法(T1強調像,T2強調像,time-of-flight法,造影T1強調像など)から得られる信号パターンの組み合わせにより,脂質コア,プラーク内出血,石灰化,線維成分などを同定することが可能である。プラーク内出血や大きな脂質コアなどを有する不安定なプラークは,将来の虚血イベントと関連するという報告もある(文献1)。冠動脈においても,T1強調像における高信号がプラーク内出血を反映していると考えられており,虚血イベントとの関連が示唆されている(文献2)。将来的には,狭窄度などの血流動態に基づく指標に加え,壁性状が動脈硬化性疾患の診療に必要な指標となる可能性がある。

【文献】


1) Gupta A, et al:Stroke. 2013;44(11):3071-7.
2) Noguchi T, et al:J Am Coll Cardiol. 2014;63(10): 989-99.

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