妄想症/妄想性障害(delusional disorder)1)2)では,単一の妄想あるいは関連する妄想群が長期間持続する。妄想は時間とともに進展することがある。発症年齢は思春期から老年期まで幅がある。
妄想の内容には様々な種類がある(表)。これらはいずれも統合失調症など他の疾患にもみられるので,診断は妄想の確認と他疾患の除外からなる。
妄想に直接関係する言動を除けば,患者の会話・感情・行動はしばしば正常である。そのため,周囲の人には異常を気づかれないことがある。
妄想に対する二次的反応として,抑うつなど気分の異常がみられることがある。
後に幻聴など他の症状が顕在化し,統合失調症に診断が変更されることがある。
醜形妄想や自己臭妄想のみが存在する場合は,妄想症ではなく,それぞれ身体醜形症,自己臭関係付け症と診断される。
器質性の障害と精神作用物質使用による障害を除外するため,身体疾患の検索と薬物スクリーニング検査などが必要である。
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