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【識者の眼】「令和時代の医療大転換期─思考理解への助言①」守上佳樹

No.5208 (2024年02月17日発行) P.64

守上佳樹 (よしき往診クリニック院長、一般社団法人KISA2隊OYAKATA)

登録日: 2024-02-07

最終更新日: 2024-02-07

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時代は令和に入り、医療の「大転換期の大詰め」を迎えている。

1945年の終戦時、7000万人だった日本人は貧しいながらも人口を一気に増やし、経済的に成長してきた。

医療も、病院、救急と高度医療に重きが置かれた戦後の高度成長期を経て皆保険制度の全国的な普及も達成し、2004年には人口も1億2000万人強と最大になり、ついに世界トップレベルの豊かな医療大国となった。

しかし2024年、日本の成長を支えてきた世代が高齢化し、わが国は世界で一番の高齢者大国へ変貌を遂げ、「医療大転換の大詰め」の時期を迎えると言われている。このような時代の全体思考の一助になればと考え、コメントを提供したい。

現在、病院を中心とした高度医療から在宅医療を中心とした地域医療へのパワー解放と、連携・連帯によるチーム医療の概念が登場し、これがスタンダードとなってきた。「治す医療から支える医療へ」「cureからcareへ」「点から面へ」など様々な表現が躍り、「多職種連携」の文字が登場した。

今後、日本の人口は減少していくとしても、2045年頃までは高齢者の絶対数が多いことにより、多様な病態に対応しなければならず、この傾向は変わらない。

そのため、患者に対応する医療側も、医師を中心とした単一職種による垂直型補助システムから、職種を増やした連携と連帯のラウンド型チーム医療システムに変更する必要がでてきた。これが「多職種連携」が時勢となった理由の1つと考えている。

医療保険システムに加えて介護保険システムが実装され、各種セラピストや介護支援専門員、介護士、栄養士など様々な医療・介護関連職種が増加している。

「すべての情報と責任を医師に集めて一点突破し必ず治す」というイメージから、「すべての情報と責任を全職種で共有し、面で支えて必ず癒す」というイメージにマインドを変更していく必要がある。

医師はこれまで重くのしかかってきた責任と重圧が軽減される、その代わり作業分担と権限譲渡を信頼できるメンバーに思い切って行う。コメディカルは仕事と権限が生じて活躍できる、その代わり一定の医療責任をとる必要がでてくる。

硬直した上下関係が薄くなってくるので、その代わりマウンティングは排除してラウンド構造としてワークできるように各職種が協力する。

このような「感覚」を徐々にでも各人が思考できれば、「多職種連携」の意味が、単に多くの職種を配置して患者を囲むだけではなく、本来の意味も真価も発揮できることに気づくようになる。

令和時代の多職種連携は、職種が増えることで対応と責任の分担はある程度できることになった。次の段階は、チームとして「『信頼できる』多職種連携」が組めているかどうかが医療の質を思考するポイントになり、医療者各人が責任をもって自分自身に問いかけることが非常に重要な時代になってくると考えている。

守上佳樹(よしき往診クリニック院長、一般社団法人KISA2隊OYAKATA)[多職種連携][大転換期][チーム医療]

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