【質問者】海法康裕 東北医科薬科大学泌尿器科教授
【停留精巣は1歳半までを推奨。VUR,先天性水腎症には自然軽快があるため,症状と腎機能の評価によって適応を決めるのがよい】
日本小児泌尿器科学会より刊行されているガイドライン,および診療手引きの内容に沿って各疾患の手術適応と至適時期について解説します。
停留精巣の発生頻度は男児の1.0〜1.7%であり,満期産の場合には生後3カ月までは自然下降を期待することができます。臨床的な問題点は,①精子造精機能・妊孕能の障害,②精巣腫瘍発生のリスク,です。停留精巣を無治療で経過観察した場合には,両側性では乏精子・無精子症が88.6〜100%,一側性の停留精巣でも43〜83.5%にみられます。精巣固定術後の父性獲得率は両側性で33〜65.3%,一側性で66〜89.7%です。精巣腫瘍発生リスク低下も期待できます1)。
停留精巣に伴う精細胞の分化成長障害や,精細胞の機能障害に関する研究の積み重ねの結果から,わが国のガイドラインにおいては1歳前後〜2歳までに手術を行うことを推奨しています1)。欧米のガイドラインによれば,生後6〜12カ月まで,遅くとも18カ月までに施行することが推奨されています。
残り1,348文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する