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鼻・副鼻腔良性腫瘍[私の治療]

No.5176 (2023年07月08日発行) P.50

花澤豊行 (千葉大学大学院医学研究院耳鼻咽喉科・頭頸部腫瘍学教授)

登録日: 2023-07-05

最終更新日: 2023-07-04

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  • 鼻・副鼻腔に発生する頻度の高い良性腫瘍としては,内反性乳頭腫,血瘤腫,若年性血管線維腫などが挙げられる1)。このうち内反性乳頭腫が最も多く,扁平上皮癌の合併があることや手術後の再発率が高いことに注意を要する。腫瘍の存在部位として,血瘤腫は上顎洞の膜様部に,若年性血管線維腫は後鼻孔付近に発生することが多く,翼口蓋窩や側頭下窩に伸展することがある。

    ▶診断のポイント

    鼻・副鼻腔の良性腫瘍の確定診断は生検によって得られるが,造影CTや造影MRIによって的確な部位から生検することが大切である。ただし,若年性血管線維腫は生検によって大量の出血をきたすこともあるので,画像診断により本疾患と推測することが肝要である。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    鼻・副鼻腔内に腫瘍を認めた場合には,すぐに生検を行わず,造影CTや造影MRIにてその伸展範囲を十分に確認するとともに組織型を推測する。腫瘍の存在部位や造影所見により,血瘤腫や若年性血管線維腫と推測できる。内反性乳頭腫の場合には,MRIで脳回様の所見を,CTでは腫瘍の基部に骨増生の所見を認めることが多い。特に内視鏡所見がポリープと似ていることや,腫瘍によって副鼻腔の自然口が閉塞されることで二次的に副鼻腔炎が生じ,ポリープを伴っていることもあるので,画像所見から的確な生検部位を判断する必要がある。一方,骨破壊や骨浸潤所見を伴う場合には,扁平上皮癌の合併も疑い,骨浸潤部位からも生検することが大切である。

    生検結果から組織型を確定した後に,治療方法,すなわち鼻・副鼻腔良性腫瘍においては手術方針を決めることになる。基本的にはいずれの腫瘍も経鼻内視鏡下手術での摘出が可能なことが多いが,若年性血管線維腫は血流に富んだ腫瘍のため,事前に栄養血管を塞栓してから手術にのぞむ必要がある。

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