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DATAで振り返る新型コロナウイルス感染症(第2回)

No.5166 (2023年04月29日発行) P.12

登録日: 2023-04-27

最終更新日: 2023-04-26

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2 ワクチン・医療提供体制の動向

(1)ワクチン

新型コロナウイルスに対するワクチン接種は予防接種法の特例に基づく臨時接種として全額国費で実施された。

初回接種(1回目、2回目)は2021年2月17日から、①医療従事者等(約480万人)、②高齢者等(約3600万人)、③それ以外の者(12歳以上)—の順で行われた。

追加接種(第3回目)は2021年12月1日から、初回接種を終了した18歳以上の者を対象に開始(12〜17歳は2022年3月25日から)。以降、同年3月には小児(5〜11歳)、10月には乳幼児(6カ月〜4歳)の接種が可能となった。同年9月20日からはオミクロン株対応のワクチンが供給され、2022年度末までに5回目接種が行われた。2022年度末までの接種回数は表1の通り。

 

(2)医療提供体制

医療提供体制の変遷を便宜的に5段階に大別する。

第1段階は2020年1月から2月中旬。感染者は海外からの渡航者・帰国者に限られており、感染を疑う場合はまず帰国者・接触者相談センター(保健所等)に電話で相談してもらう体制がとられた。同センターから帰国者・接触者外来(2次医療圏に1カ所程度)へ誘導してPCR検査を実施、感染が確認されれば入院勧告・措置(全国に約1200床を用意)を行う—と政府対策本部は2020年2月13日の「緊急対応策」で決定した。

しかし第2段階はすぐに訪れた。全国で感染が拡大、政府対策本部の2月25日の「基本方針」では、外来は一般の医療機関で動線を区分した上で受け入れること、軽度である場合は自宅療養とし、状態が変化した場合はかかりつけ医に相談した上で受診する—との方針に転換した。4月10日には初診からオンライン診療を可能とする時限的・特例的取り扱いが開始。5月31日から新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理システム(HER-SYS)の運用が始まり、医療機関は同システムを通じて発生届の報告を行うことになった。

第3段階はデルタ株が主流となった2021年春から年末まで。医療機関の逼迫が深刻化し、入院できずに自宅療養の患者が急増した。同年8月2日に菅義偉首相(当時)は「重症患者や特に重症化リスクの高い者」以外は自宅療養とする方針を示した。

第4段階はオミクロン株に入れ替わった2022年初頭から2023年初頭まで。新規陽性者数や死者数は以前に比べて格段に膨れ上がったが、軽症患者が大部分を占めるようになった。医療機関の負担軽減のため、2022年9月にはHER-SYSの入力項目が簡素化された。

第5段階は2023年2月から現在。第8波が収まり、5類への移行が準備されている。

厚生労働省の「新型コロナウイルス感染症患者の療養状況等に関する調査」によると、都道府県が医療機関と調整した受入確保病床は最大で4万8808床(2023年1月11日時点)。発熱外来を設けた病院・診療所は、日本医師会の会見などでは約4万2000施設とされている。

ECMONetが集計したECMO、人工呼吸器の開始数を週ごとにみたのが図1。これは厚生労働省が集計している重症者の推移とほぼ一致している。

自宅療養者数の推移は図2。第6波以降急増しているが、このうち新型コロナウイルス感染症が直接の原因で死亡した患者がどの程度に上っていたのか、今後の分析が必要と思われる。

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