過活動膀胱は,尿意切迫感を必須とした症状症候群である。通常は頻尿と夜間頻尿を伴い,切迫性尿失禁は必須ではない。尿意切迫感は,「突然起こる,我慢できないような強い尿意であり通常の尿意との相違の説明が困難なもの」であるが,その病態生理や発症機序は十分解明されていない。
基本評価として,病歴・既往歴・合併症,服薬歴・水分摂取習慣,自覚症状の問診〔下部尿路症状:蓄尿症状(過活動膀胱症状),排尿症状,排尿後症状〕,過活動膀胱症状スコア(OABSS),身体理学的所見・神経学的所見,検尿,残尿測定が必須である。
OABSSは過活動膀胱に特異的な症状質問票で,昼間頻尿,夜間頻尿,尿意切迫感,切迫性尿失禁,の4項目の質問票からなり,診断および重症度評価に用いる。尿意切迫感スコアが2点以上,かつ合計スコアが3点以上の場合に過活動膀胱と診断し,合計スコアが5点以下を軽症,6~11点を中等症,12点以上を重症と判定する。
治療にあたっては,患者教育(正常な下部尿路機能,各種治療法の特徴の説明),治療目標の設定,QOL評価が重要である。「治療の評価,目標の再設定,患者教育」を継続的に行うことにより,少しでも患者満足度を高める。
治療はまず行動療法や薬物療法を考慮する。
行動療法には,生活指導,膀胱訓練・計画療法,理学療法(骨盤底筋訓練,バイオフィードバック訓練),行動療法統合プログラム,などがある。
薬物療法は男性と女性にわけて考える。男性の場合は,前立腺肥大症を伴うことが多いので,α1遮断薬またはPDE-5阻害薬を基本とし,過活動膀胱症状の有無により,β3作動薬または抗コリン薬の併用・追加を考慮する。女性の場合や男性で前立腺肥大症を伴わない場合は,β3作動薬または抗コリン薬を第一選択とする。
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