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現在の覚醒下手術の適応,検査可能な脳機能について

No.5143 (2022年11月19日発行) P.50

後藤剛夫 (大阪公立大学大学院医学研究科脳神経外科教授)

中田光俊 (金沢大学医薬保健研究域医学系 脳・脊髄機能制御学教授)

登録日: 2022-11-17

最終更新日: 2022-11-15

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  • 最近の覚醒下手術の進歩は目を見張るものがあります。現在の覚醒下手術の適応,検査可能な脳機能についてご解説下さい。
    金沢大学・中田光俊先生にお願いします。

    【質問者】

    後藤剛夫 大阪公立大学大学院医学研究科 脳神経外科教授


    【回答】

    【重要な脳機能局在に隣接する病変に適応があり,多彩な脳機能を検査できる】

    適応:覚醒下手術の適応は脳機能局在隣接病変で,その機能をモニタリングする適切な検査があること。さらに,手術の意義を十分に理解され,手術中に協力頂ける方となります。元来の目的は,運動機能と言語機能の温存が主体でしたが,感覚や視覚,高次脳機能にまで温存対象機能が広がっています。

    検査可能な脳機能:覚醒下手術では機能に対応した様々なタスクで,多彩な脳機能局在を調べることができます。運動機能は肘の屈曲伸展や手の離握手で,言語機能は物品呼称や自発言語で判断します。感覚領域の電気刺激では局在に合った身体部位のしびれ,視路の刺激では閃光や視野欠損を認めます。

    最近は,高次脳機能モニタリングの試みが盛んになっています1)。高次脳機能は理解,思考,記憶,表現,判断,伝達をするための高度な脳機能を指し,その人らしさを担っています。これが障害されると,失行,失認,半側空間無視,記憶障害,社会的行動障害,注意障害,遂行機能障害といった社会生活を妨げる症状をきたします。

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