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【識者の眼】「研修医の働き方改革⑧─GM-ITE成績優秀者の研修生活の特徴」西﨑祐史

No.5140 (2022年10月29日発行) P.55

西﨑祐史 (順天堂大学医学部医学教育研究室先任准教授)

登録日: 2022-10-04

最終更新日: 2022-10-04

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2022年9月4日にNPO法人日本医療教育プログラム推進機構(Japan Institute for Advancement of Medical Education Program:JAMEP)が主催する、基本的臨床能力評価試験シンポジウム2022が開催された。本シンポジウムは、毎年9月に開催され、多くの研修指導医(各施設の研修プログラム責任者等)が参加される。

シンポジウムの内容は、前年度に実施された、基本的臨床能力評価試験(GM-ITE)の総括に加え、成績上位医療機関における臨床研修の取り組みの紹介やパネルディスカッションにより構成されている。また、昨年度からプレイベントとして、研修医座談会が開催されるようになった。本年度の研修医座談会には、2020年度GM-ITE成績上位者(現卒後4年目医師)が10名参加した。

研修医座談会のディスカッションのテーマは、研修医時代にローテーションして良かった診療科とその理由、研修医時代の自己研鑽の方法、研修医時代のメンターの有無およびメンターの利点、研修医時代の平均労働時間等であった。GM-ITE成績上位者10名の若手医師が自身の研修医時代を振り返り、研修生活における様々な工夫を紹介し、活発に議論した。その中で、成績優秀者の研修生活の特徴が見えてきたので紹介したい。

まず初めに、自分が進もうとしている診療科以外を積極的にローテーションし、そこから多くのことを学ぼうとする姿勢がある。また、経験症例を通じて学習している。特に、成績優秀者に共通していた特徴としては、経験症例をメモとして残し、繰り返し振り返ることで知識を定着させている点であった。指導医として、症例振り返りの重要性を改めて認識した。それ以外で印象的であった工夫としては、症例振り返りの際に、医学的な点のみならず、臨床現場で感じた自分の気持ちや、患者および患者家族とのコミュニケーションの際に感じたこと(成功例、失敗例の両方について)を記録に残し、次に繋げるという内容であった。

オンラインにて登壇してくれた10名の若手医師から多くのことを学ばせてもらったが、その基礎となる部分に、セルフコントロール能力の高さがあることを実感した。座談会から学んだことを今後の研修指導に活かしていきたい。なお、本座談会の様子は、JAMEPホームページ1)で動画として公開されているので、興味のある方には、是非観てもらいたいと思う。

※JAMEPおよびGM-ITEについては、第1回(No.5102)の記事を参照。

【文献】

1)JAMEPホームぺージ. https://jamep.or.jp/symposium/roundtabletalk2022/

西﨑祐史(順天堂大学医学部医学教育研究室先任准教授)[研修医][働き方改革][総合診療]

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