【質問者】
藤澤正人 神戸大学大学院医学研究科腎泌尿器科学分野 教授
【新規ホルモン薬,タキサン系抗癌剤などによる逐次治療を行う】
多くの有効な薬剤がCRPCに対して使用可能となりました。このことは前立腺癌患者にとって大きな福音ではありますが,治療体系が非常に複雑化しており,これに精通することは泌尿器科医に課せられたきわめて重要な使命です。
CRPCに対しては,まずアンドロゲン受容体経路阻害作用を有する新規ホルモン薬(アビラテロンあるいはエンザルタミド),ついでドセタキセル,カバジタキセル(いずれもタキサン系抗癌剤)の順に薬剤を導入する逐次治療が,最適であると考えられます。その根拠としては,新規ホルモン薬間には高度の交差耐性が存在し,連続した投与が好ましくないこと,CARD試験によりカバジタキセルを三次治療として導入することの有用性が示されたこと,などが挙げられます。
また最近,BRCA遺伝子変異を有するCRPCに対してPARP阻害薬であるオラパリブが承認されました。大変有効な薬剤ではありますが,BRCA遺伝子変異の検索に伴う諸問題のため,現状のシステムのもとではオラパリブが広く普及するまでにはかなりの時間を要するのではないかと予想されます。なお,転移を有さないCRPCの中で前立腺特異抗原(prostate specific antigen:PSA)倍加時間の短い症例に対しては,アパルタミド,エンザルタミド,ダロルタミドの3剤の有効性が示されており,これらの薬剤を使用して治療を行うことが一般的となりつつあります。
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