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困った法則「イールーム」[なかのとおるのええ加減でいきまっせ!(26)]

No.4726 (2014年11月22日発行) P.73

仲野 徹 (大阪大学病理学教授)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-03-16

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  • 医学部教授としてあるまじき、と思われるかもしれない話を2つ。まずは「医療や福祉で経済を活性化」と言われてるけど、それってほんまなんやろうかという疑問。

    もちろん、医療や福祉を充実させるのはいいことだ。一過的には、経済も活性化されるだろう。しかし、なんとなく、それって、いずれ破綻する「おなかすいたタコが自分の足を食べる」的な話のような感じがしてしかたがないのだ。

    もうひとつ、新しい治療法やお薬の開発をストップし、その費用をもって医療を手厚くしたほうが医療経済的にはすぐれているのではないか、という疑問。自分で思いついたわけでなく、とある本に書いてあったので、真実なのだろうと思う。

    いってみれば、いつかすばらしい治療法ができるかもしれませんからね、というような「あいまいな期待感」をどこまで抱けばいいのか、という問題である。

    Eroom(イールーム)の法則をご存じだろうか? 2012年に発表されている論文であるが、つい最近知った。過去60年間の米国の創薬の歴史をたどってみると、研究開発費10億ドルあたりの認可された新薬の数が、9年ごとに半分に減ってきている、言い換えると、新薬開発コストが9年で倍々に増えているということだ。

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