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総合診療科の発展[炉辺閑話]

No.4993 (2020年01月04日発行) P.44

清田雅智 (飯塚病院総合診療科診療部長)

登録日: 2020-01-03

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1995年に長崎大学を卒業後、飯塚病院の研修医からスタッフとなり、今年で24年を迎えた。当院の総合診療科は、スタッフ23名(通称の総合内科15名+家庭医8名)と後期研修医27名(同16名+11名)の50名が所属する、日本最大級の総合診療科である。1048床44診療科317名の医師がいる当院の全退院患者の13%(約2500名)を当科が担当しており、さらに96床の関連病院である頴田病院勤務の医師(前記の家庭医19名)が九州最大の専門医を輩出する総合診療プログラムを形成し、地域医療に携わっている。1999年にスタッフ3名で開始した診療科であるが、いわゆる医局人事でなく、独自に人材育成して20年で大きくした組織である。飯塚病院での実績をみると、限界利益(医業収益-材料費)ではトップクラスにいる。特定機能病院である当院で、平日外来診療は30~50人の新患、ICU/HUCを含めた病棟診療は約130名/日の入院患者を診療している。

日常診療は忙しいが、外来、入院(重症チーム、一般チーム)を教育するスタッフの存在が充実していることから、若手の研修医が集まることで持続可能な組織になっている。年々仕事の範囲が広がってきているが、複数の大きな危機を乗り越え、常に医療環境の変化に適応して組織が大きくなった。当院研修医上がりの当科のスタッフ医師が私を含め7名おり、当科の教育の文化を織り成す「縦のライン」を形成するが、スタッフ構成の半数以上は他の初期研修病院で研修した「横のライン」が混じった独自のチームである。例えるとラグビー日本代表のようだ。従来から大学医局が担っている「研究」以外の機能である、「教育」と「診療」の部分に特化し、研修医教育に深く携わってきた当科の特性がなしえた成果だと思う。福岡県の筑豊地域40万診療圏の中で、大学病院と同様の診療の機能を有する当院で、総合診療科がこのように機能している。他の地域では、この存在がないために苦労する専門医がこれから多くなると察している。どうすれば横展開が可能になるか思案中である。

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