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(1)MRI[特集:認知症の脳イメージングの進歩]

No.4979 (2019年09月28日発行) P.20

松田博史 (国立精神・神経医療研究センター脳病態統合イメージングセンター長)

登録日: 2019-09-30

最終更新日: 2019-09-25

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認知症診療においてMRIは必須の補助診断法である

全脳のT1強調画像による脳萎縮の評価が有用である

脳萎縮の評価にはコンピュータによる自動診断が用いられる

1. 全脳T1強調画像への期待

MRIは認知症における補助診断法として必須の脳イメージング法となっている。脳腫瘍や脳血管性障害の除外診断ばかりでなく,間隙のない1mmぐらいの薄いスライス厚で撮像された三次元の全脳T1強調画像を用いた脳萎縮の評価は,認知症をきたす神経変性疾患の早期診断や鑑別診断に広く用いられている。

脳体積は脳機能と良好に相関し,我々の検討では1),嗅内皮質の厚さと遅延再生能力および扁桃近傍の皮質厚とうつ症状の有意な相関が得られている。MRIは通常の構造MRIに加え,安静時機能結合MRI,arterial spin labelingなど脳機能ネットワークおよび脳血流情報も提供することができ,認知症においても数多くの研究成果が報告されている。しかし,これらの先進的な脳機能画像は用いるMRI装置への依存性が高く,全施設にわたって普遍的な画像所見が得られるとは限らない。また,安静時機能結合MRIでは眠気などの生理的因子も影響することが知られている。これらの点から,MRI装置依存性が比較的低い全脳T1強調画像への期待が高まっている。本稿では,認知症における全脳T1強調画像に絞って認知症におけるMRIの進歩について述べる。

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