家庭裁判所は,成年後見制度について,医師の作成した診断書等を参考に,本人における精神上の障害や判断能力の低下の有無・程度について判断するが,それにより本人の様々な権利が剝奪され,社会的地位が喪失される。そのため,認知症患者の成年後見診断書はきわめて重要であり,その診断書は正確かつわかりやすいものでなければならない。
本稿では,かかりつけ医による成年後見診断書の作成方法を認知症患者の例を用いて解説する。
成年後見診断書は,最高裁判所事務総局家庭局が作成した「成年後見制度における診断書作成の手引・本人情報シート作成の手引」1)をもとに作成することが望まれている。かかりつけ医であれば記載すべきほとんどの情報を把握していると思われるが,記載するために不足している情報に関しては,同じ手引きに載っている「本人情報シート」を,家族もしくは状況を把握している親族やケアマネジャーに記載してもらうとよい。
実際の記載内容およびその注意は以下のとおりである。