株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

(3)認知症医療における介護資源の利用法[特集:認知症の非薬物療法と介護資源の利用法]

No.4964 (2019年06月15日発行) P.30

小谷恵子 (認知症介護研究・研修東京センター研修主幹)

登録日: 2019-06-17

最終更新日: 2019-06-12

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

診断後,地域包括支援センター等の福祉専門職に早い段階でつながることにより,介護資源の適切な利用ができ,行動・心理症状(BPSD)や家族の負担を軽減できる可能性がある

本人が家に引きこもりがちで受診を拒んでいる状況がある等,個別に集中的な生活改善の支援を必要とする場合には認知症初期集中支援チームを活用する

介護保険では,訪問・通い・泊まり・それらを組み合わせたものなど,様々なサービスがあるが,認知症の人への適切なアセスメントに基づくサービスを受けることが家族介護による共倒れを防ぐ。家族同士や本人同士の交流も効果的

介護職との連携により,医師が「治療可能な症状を判断する」「サービス利用等の助言を行う」にあたり有益な情報が得られる

1. 生活をサポートする地域包括支援センターへの紹介

認知症の人には介護が必要という世間的なイメージは強いが,診断直後すぐに介護が必要になるとは限らない。初期の段階であれば,今の生活に少しの工夫を加え,周囲の理解を受けることで,これまでに近い生活が送れる可能性がある。そのためにも,できる限り初期の段階で診断を受け,その後の生活について地域包括支援センター等の相談支援を受けながら暮らすことが望まれる。

地域包括支援センターへ紹介されると,専門職による相談の上で,介護が必要であれば要介護認定を,現時点で介護が不要な場合にも年齢や障害に応じ利用できるサービスや市町村事業が,ガイドブック(認知症ケアパス)等を用いて紹介される。各市町村では介護予防に関する講座も定期的に開かれている。そういった事業につながることでいつでも専門職に相談できる体制をつくっておくことが病状の進行に伴う生活状況の悪化を未然に防ぐことにつながる。また,本人が家に引きこもりがち,受診を拒んでいるなど,個別に集中的な生活改善等の支援を必要とする場合には,認知症初期集中支援チームによる介入も検討できるため,居宅介護支援専門員やサービスにつながっていない場合にはまず地域包括支援センターに紹介するべきである。

プレミアム会員向けコンテンツです(期間限定で無料会員も閲覧可)
→ログインした状態で続きを読む

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top