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(3)膝外側円板状半月板の症状と治療[特集:膝が外れるような感覚を伴う膝痛の鑑別診断と治療]

No.4948 (2019年02月23日発行) P.40

中前敦雄 (広島大学病院整形外科講師)

安達伸生 (広島大学大学院医歯薬学保健学研究科整形外科教授)

登録日: 2019-02-25

最終更新日: 2019-02-20

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円板状半月板は,半月板の通常の形態である三日月型ではなく,ほぼ円い厚みのある板状をしており,ほとんどが外側半月板に生じる

膝外側円板状半月板の発生頻度は,欧米人よりも日本人を含むアジア系人種で高い

膝外側円板状半月板の症状は,膝痛や膝が外れるような感覚,引っかかり感,腫れ,膝可動域制限,弾発,ロッキングなどであるが,無症状の膝外側円板状半月板もある

膝外側円板状半月板の診断にはMRIが有用である

手術では,関節鏡下で半月板形成的部分切除を施行,あるいはこれに半月板縫合を併用する

1. 膝外側円板状半月板とは

半月板は大腿骨と脛骨の間に存在するクッションであり,膝にかかる荷重を分散し衝撃を吸収する機能のほか,膝関節を安定させる役割も有する。この半月板は膝の外側と内側に1つずつあり,主に線維軟骨とコラーゲンからなる三日月の形をした組織である(図1)。半月板の断裂や変性が生じると,膝の痛みや引っかかり感,膝が外れるような感覚などの症状が出現し,関節内で骨の表面を覆っている軟骨がしだいに損傷を受け,変形性膝関節症の原因となってしまう。

 

半月板損傷の原因としては,スポーツなどによる膝への外力や靱帯損傷,加齢に伴う変性などのほか,先天的な形態異常がある。

この半月板の先天的な形態異常の代表が「円板状半月板」である。円板状半月板は半月板の通常の形態である三日月型ではなく,ほぼ円い厚みのある板状をしている(図2)。ほとんどが外側半月板に生じ,内側に生じるのは非常に稀とされている。円板状半月板は激しい外力や長期間のストレスがかかっていない場合でも,容易に損傷することがある。その理由としては,線維配列や血行が正常半月板と異なることや,通常の半月板より厚く大きいためストレスがかかりやすいことが考えられる。

膝外側円板状半月板の発生頻度は,欧米人では0.4~5%とされているが,日本人を含むアジア系人種ではより高く,5.8~17%とされている1)

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