株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

(4)IgG4関連疾患の病態形成機序─涙腺・唾液腺より[特集:唾液腺・眼病変からみたIgG4関連疾患の進歩]

No.4939 (2018年12月22日発行) P.44

森山雅文 (九州大学大学院歯学研究院口腔顎顔面病態学講座顎顔面腫瘍制御学分野)

中村誠司 (九州大学大学院歯学研究院口腔顎顔面病態学講座顎顔面腫瘍制御学分野教授)

登録日: 2018-12-24

最終更新日: 2018-12-18

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

IgG4関連涙腺・唾液腺炎(IgG4-DS)の腺腫脹は両側性・持続性を特徴とし,涙腺・顎下腺が好発部位である

IgG4-DSの確定診断には,悪性腫瘍や類似疾患を除外するために病変局所からの組織生検が推奨される

顎下腺部分生検は,低侵襲で悪性リンパ腫などの類似疾患との鑑別も可能であり,適切な生検手技と考えられる

口唇腺生検は感度が60%程度と低いため,口唇腺生検単独による診断には注意を要する

超音波検査はIgG4-DSの診断に有用である

1. IgG4関連涙腺・唾液腺炎の歴史的経緯

IgG4関連疾患(IgG4-related disease:IgG4-RD)は,高IgG4血症と罹患臓器へのIgG4陽性形質細胞の浸潤を特徴とする全身性の疾患であり,わが国から提唱された新しい疾患概念である1)

IgG4-RDの涙腺・唾液腺病変であるミクリッツ病(Mikulicz’s disease:MD)は,この疾患群の代表的なものであるが,病理組織学的類似性から従来はシェーグレン症候群(Sjögren’s syndrome:SS)の一亜型として認識されてきた2)。しかし,MDの腺腫脹は持続性,両側性であり,ステロイドが著効するなど,臨床的にSSと異なる所見も多くみられる。

さらに近年,Yamamotoら3)がMDのみに高IgG4血症や唾液腺へのIgG4陽性形質細胞の浸潤を認めることを報告してからは,MDはSSとはまったく異なった機序で生じる疾患であることが明らかになり,現在ではキュトナー腫瘍(Küttner’s tumor:KT)と合わせて,IgG4関連涙腺・唾液腺炎(IgG4-related dacryoadenitis and sialoadenitis:IgG4-DS)と呼ばれている4)

プレミアム会員向けコンテンツです(期間限定で無料会員も閲覧可)
→ログインした状態で続きを読む

関連記事・論文

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

関連物件情報

もっと見る

page top