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(3)直腸癌に対する先進的内視鏡治療─transanal TMEを中心に[特集:直腸癌手術治療の現状]

登録日: 2018.10.09 最終更新日: 2026.02.21

長谷川 傑 (福岡大学消化器外科教授) 薦野 晃 (福岡大学消化器外科) 愛洲尚哉 (福岡大学消化器外科)

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直腸癌に対する腹腔鏡下手術は近年普及の一途にあるが,狭い骨盤内での直腸の剝離や切離操作は必ずしも容易ではなく,腫瘍学的な成績が悪くなるのではという懸念もある

transanal TMEは肛門側から単孔式のデバイスを用いて逆行性に直腸の切離,剝離を行うものであり,特に狭骨盤や腫瘍の大きな症例などでその有用性が期待されている

transanal TMEは技術的に比較的難度が高く,尿道損傷による排尿障害などが報告されており,骨盤内の正確な解剖の知識の習得と,段階を経たトレーニングによる導入が望ましい

1. 直腸癌に対する腹腔鏡下手術の現状

直腸癌に対する標準手術は直腸間膜全切除(total mesorectal excision:TME)である1)。従来の開腹手術に加えて,低侵襲治療として腹腔鏡下手術が行われるようになってきており,日本内視鏡外科学会の調査によると,直腸癌症例の半数以上が腹腔鏡下手術を受けていると報告されている2)。我々外科医にとって,深く狭い骨盤内での拡大視効果は腹腔鏡下手術の最大のメリットであるが,一方で,その手技は比較的難しいとされている。最近の海外の臨床試験によると,剝離断端にがんが近づく割合が開腹手術に比べて高まり,がんの取り残しによる再発(局所再発率)が高まるのではないかとの懸念もされている3)4)。腫瘍の位置がより肛門に近い症例のうち,狭い骨盤や腫瘍が大きな症例で特に難易度が高まると考えられており,わが国の大腸癌治療ガイドラインでも,「直腸癌に対する腹腔鏡下手術の有効性と安全性は十分に確立されていない。適正に計画された臨床試験として実施することが望ましい」と記載されている5)。

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