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蚊を誘引・捕獲する方法とその目的は?【誘引用と捕獲用,別個の装置が必要。目的は発生状況のモニタリングで,捕獲・駆除ではない】

No.4896 (2018年02月24日発行) P.57

津田良夫 (国立感染症研究所昆虫医科学部)

登録日: 2018-02-24

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昨夏,テレビ番組で蚊を誘引・捕獲するためのボトルが紹介されていました。さっそく当院でも製作し,庭に置いたのですが,思ったほど捕獲することができませんでした。何か製作法,設置法にコツのようなものがあるのでしょうか。国立感染症研究所・津田良夫先生にご教示をお願いします。

(秋田県 H)



【回答】

テレビ番組で放送された(イースト発酵による)蚊の誘引方法は,紹介の仕方が中途半端で,誤解された方が多いようで残念に思っています。蚊はイースト発酵によって発生した二酸化炭素ガス(CO2ガス)に誘引されますが,ペットボトルの近くに寄って来るだけで,ペットボトルの中に入り込んで捕まるわけではありません。したがって,誘引された蚊を捕獲するには,ペットボトルだけでなく蚊を捕えるための別の捕獲装置が必要になります。

通常,CO2ガスを使った蚊の調査では,多量のCO2ガスを得るために1kgのドライアイスを使い,捕獲装置としては乾電池で動かす吸引機を使っています1)。ドライアイスは多量のCO2ガスに変わるので,ドライアイスの周囲に蚊が寄ってきます。これを我々が捕虫網で捕獲するのが最も簡単な捕獲方法ですが,何時間も捕虫網での採集を続けることはできませんから,集まった蚊を人に代わって捕獲する装置が必要になるわけです。

イースト発酵による方法も採集の基本はドライアイスを用いた方法とまったく同じです。ただしドライアイスに比べると,イースト発酵で生産されるCO2の量はかなり少ないので,おびき寄せられる蚊の数はずっと少なくなります。

もともとイースト発酵による蚊の誘引法は,熱帯地域や島などでドライアイスが入手できない場合に同じような方法で蚊を捕集できないかと考えて考案されました。ですから,ドライアイスが手に入る場所なら,ドライアイスを使うほうがはるかに効率的です。

また,どのようなトラップも集まってきた蚊の一部しか捕獲できませんから,トラップによって蚊の発生を抑えることはできません。トラップは蚊の発生が多い時期や蚊が多い場所を知るなど,いわゆるモニタリングに使われます。蚊の発生量を少なく抑えるためには,トラップによる捕獲ではなく,幼虫の発生源となる人工容器や水溜りなどを減らす以外にありません。

【文献】

1) 津田良夫:蚊の観察と生態調査. 北隆館, 2013.

【回答者】

津田良夫 国立感染症研究所昆虫医科学部

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