株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

単回投与・新機序のインフルエンザ治療薬「ゾフルーザ」の承認を了承【新薬情報】

No.4894 (2018年02月10日発行) P.14

登録日: 2018-02-02

最終更新日: 2018-02-02

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会は2日、新作用機序の抗インフルエンザウイルス薬「ゾフルーザ錠」(一般名:バロキサビル マルボキシル、塩野義製薬)の承認を了承した。通常のスケジュールでは承認は3月と見込まれるが、「先駆け審査指定制度」(用語解説)の対象品目であることや今シーズンの流行状況を踏まえ、前倒しされる可能性もある。

ゾフルーザは「キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬」と呼ばれる新機序薬。単回投与で治療が完結する点が「タミフル」(オセルタミビル)など従来のノイラミニダーゼ阻害薬と大きく異なるが、臨床上ではタミフルなどと同様に、A型・B型インフルエンザの治療選択肢の1つに位置づけられる。成人および12歳以上の小児には20mg2錠(体重80kg以上には20mg4錠)、12歳未満の小児には体重に応じて10mg1錠~20mg2錠を経口投与する。

塩野義によると、同薬の第Ⅲ相試験では、タミフルと比較して、罹病期間の短縮率は同等、ウイルス排出期間は有意に減少、薬剤との関連が疑われる有害事象の発現率は有意に低かったとしている。

■「ハーセプチン」に後続品、適応は胃癌のみ

このほか、承認が了承された品目には、抗癌剤「ハーセプチン」(トラスツズマブ〈遺伝子組換え〉、中外製薬)のバイオ後続品がある。同薬は日本化薬が韓国のCelltrionと共同開発したもの。ハーセプチンは胃癌と乳癌に適応を有するが、中外製薬が日本化薬を乳癌関連の特許侵害で提訴した関係で、後続品の適応は胃癌のみとなっている。

■承認予定品目

・ オレンシア点滴静注用250mg(アバタセプト〈遺伝子組換え〉、ブリストル・マイヤーズスクイブ):多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎

・ ゾフルーザ錠10mg、同錠20mg(バロキサビル マルボキシル、塩野義製薬):A型またはB型インフルエンザウイルス感染症

・ ミティキュアダニ舌下錠3300JAU、同10000JAU(一般名なし、鳥居薬品):ダニ抗原によるアレルギー性鼻炎に対する減感作療法(小児用量を追加)

・ アシテアダニ舌下錠100単位(IR)、同300単位(IR)(一般名なし、塩野義製薬):ダニ抗原によるアレルギー性鼻炎に対する減感作療法(12歳未満の小児用量を追加)

・ ハーボニー配合錠(レジパスビル アセトン付加物/ソホスブビル、ギリアド・サイエンシズ):セログループ2(ジェノタイプ2)のC型慢性肝炎またはC型慢性代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善

・ ①トラスツズマブBS点滴静注用60mg「NK」および同150mg「NK」、②トラスツズマブBS点滴静注用60mg「CTH」および同150mg「CTH」(トラスツズマブ〈遺伝子組換え〉※、①日本化薬②Celltrion):HER2過剰発現が確認された治療切除不能な進行・再発の胃癌 ※ハーセプチン注射用60および同150(中外製薬)のバイオ後続品

・ ザイティガ錠250mg(アビラテロン酢酸エステル、ヤンセンファーマ):内分泌療法未治療のハイリスクの予後因子を有する前立腺癌

・ FDGスキャン注(フルデオキシグルコース〈18F〉、日本メジフィジックス):大型血管炎の診断における炎症部位の可視化

■公知申請可能と判断された品目(2日付で保険適用)

・ バリキサ錠450mg(バルガンシクロビル塩酸塩、田辺三菱製薬):臓器移植(造血幹細胞移植を除く)におけるCMV感染症の発症抑制(小児への適応)

【先駆け審査指定制度】世界に先駆けて開発され、早期の治療段階で著明な有効性が見込まれる医薬品や医療機器を指定し、早期の実用化を図る制度。申請から承認までの期間が通常の 半分の6カ月以内となる。医薬品の場合、①既承認薬と異なる新作用機序を持つ、②対象疾患が生命に重大な影響がある、③既承認薬と比べて有効性がきわめて 高い、④日本で早期開発・申請する意思がある―の4要件を満たすことが指定の基準となる。

関連物件情報

もっと見る

page top