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産業医の機能強化の方向性まとまる【労働政策審議会建議】

No.4860 (2017年06月17日発行) P.16

登録日: 2017-06-08

最終更新日: 2017-06-15

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厚生労働省の労働政策審議会安全衛生法分科会は6日、政府の「働き方改革実行計画」を踏まえた産業医の機能強化の方向性を取りまとめ、塩崎恭久厚労相に建議した。同省は労働安全衛生法の改正に着手する。

働き方改革実行計画では、過労死防止、仕事と治療の両立支援等の観点から、産業医・産業保健スタッフの能力向上や相談支援機能の強化が掲げられている。

建議では、事業者が長時間労働者等に対して行った就業上の措置(用語解説)を産業医が適切に把握する必要があると強調。その上で、事業者が異常等の所見のあった労働者に対し就業上の措置を行った場合はその内容を、行わなかった場合はその理由を、産業医に情報提供するよう義務づけるべきとしている。過労死等のリスクが高い労働者を見逃さないため、事業者には、労働者が産業医・産業保健スタッフに直接健康相談できる体制の整備も求めている。

産業医が労働者の健康管理等に関して事業者に行う勧告については、事業場の実情を十分考慮した内容であることが実効性の確保につながる重要と指摘。産業医が勧告を行う場合、事前に内容を示し、事業者から意見を求めるとともに、勧告を受けた事業者は内容を衛生委員会に報告すべきとした。

衛生委員会における産業医の権限についても明確化し、健康管理の観点から必要な調査審議を求めることを可能にすることなどを提言している。

【就業上の措置】:事業者が健康診断や医師による面接指導などの結果を踏まえ、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮等の措置を講じること。労働安全衛生法に規定。事業者は必要に応じて事前に措置の必要性や講じるべき措置の内容について医師から意見を聴取する。

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