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既収載品にも「外国平均価格調整」の適用を ―「京大・医薬産業政策学講座シンポで柿原氏提案」 【高額薬剤問題】

No.4844 (2017年02月25日発行) P.9

登録日: 2017-02-13

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  • 日本製薬工業協会の寄附講座で、3月末に設置期限を終える京都大学大学院薬学研究科の医薬産業政策学講座が10日、高額薬剤問題をテーマにシンポジウムを開いた。同講座教授で医師の柿原浩明氏は薬価改定に関して、既収載品にも「外国平均価格調整」を適用する新ルールを提案した。

     

    柿原氏は、緊急改定で薬価が半額になった免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」の当初薬価について、「世界に先駆けて承認したが、最初の適応症の悪性黒色腫は白人に多い疾患。日本人の患者数を基に値付けしたことがそもそもの問題」と指摘。「英独仏の4倍の価格というのは高すぎた。患者数の多い疾患に適応拡大した場合の引下げはやむをえない」とした。

    一方で、売上が大きい薬剤を対象に薬価を引き下げる市場拡大再算定や特例拡大再算定の仕組みについては、「理屈に合わない」と問題視。「『適応拡大で生産量が増え、1剤当たりで回収すべき開発コストが下がるから改定』というなら合理的。販路が国際展開している以上、1剤当たりの開発コストの計算には、日本だけでなく世界の予想販売量を考慮すべきだ」と述べた。

    その上で柿原氏は、現行の外国平均価格調整(用語解説)の調整式について、①世界に先駆けて承認された薬剤の価格が海外承認後も据え置かれる、②必ずしも外国平均価格と等しくならない、③厚生労働省保険局も式の根拠を把握していない─との問題点を列挙。「既収載品にも外国平均価格調整を適用すれば、高額薬剤を合理的に海外並みに安くできる」と訴えた。

    ただしその後の討論では、この提案に対し、「自国の基準で判断しないことになる」「公定価格の決定プロセスはもっと複雑」といった反論も出た。

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