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(4)インタビュー② 医療は人権尊重のためにある─医療制度の問題は憲法問題、国民に薬価の説明を [特集:「高額薬剤」問題を考える]

No.4818 (2016年08月27日発行) P.25

花井 十伍 (薬害訴訟原告団代表/中医協委員/全国薬害被害者団体連絡協議会代表世話人/連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員/ネットワーク医療と人権「MERS」理事)

登録日: 2016-09-16

最終更新日: 2017-01-19

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  • ─薬価の特例的引下げと、最適使用推進ガイドライン作成についてどう考えるか。

    評価している。薬害被害者の立場でいうと、医薬品の適正使用の推進に関して、日本の現在の制度は十分に対応していない。例えば、抗がん剤イレッサ(一般名ゲフィチニブ)の副作用死を巡る訴訟で最高裁は、イレッサを承認した国の違法性を否定する一方で、「医師が添付文書を読めば、危険性を認識できた」という、医療過誤の問題との認識を示した。これだけ医療が専門分化している中で、承認されれば、医師がどんな使い方をしても「適正」と解釈するのはあまりにナイーブだ。

    私が考える適正使用は “医療費抑制”ではなく、“標準医療”。今回の対応は、診療報酬が薬事行政を誘導し、標準医療の推進を目指していると捉えている。

    ─GLには「患者の選択基準」「医師・医療機関等の要件」が盛り込まれる予定だ。

    患者の選択基準については慎重に議論すべきで、一律に基準を設定するのは望ましくない。

    本来は、対象医薬品を適切に使用できる医師がプロフェッショナル・オートノミーを発揮すれば、患者の選択基準を設ける必要はない。ところが、どうやら極端な振れ値が存在する。そうした部分を刈り込むという趣旨なら、患者の選択基準は概念としてはありうるが、具体的には難しい。

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