株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

(1)解説①「薬剤費亡国論」の真偽─“1兆7500億円”が浮き彫りにした課題 [特集:「高額薬剤」問題を考える]

No.4818 (2016年08月27日発行) P.20

登録日: 2016-09-16

最終更新日: 2017-01-19

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 1日薬価が9万5046円に上る「オプジーボ」の適応拡大で現実味を帯びてきた「薬剤費亡国論」。今後も続々と上市が予想される超高額薬剤は、本当に国の財政を滅ぼしてしまうのか。その真偽について検証してみたい。

    旧厚生省の吉村仁保険局長が1983年に唱えた「医療費亡国論」は、現在まで続く医療費抑制政策に大きな影響を与えた。その結果、医療費の伸びは当時の想定よりも大幅に抑制される形で推移しているが、昨年末から新たに浮上してきたのが「薬剤費亡国論」とでもいうべき問題だ。

    きっかけは日本赤十字社医療センターの國頭英夫氏が、4月の財政制度等審議会財政制度分科会で、非小細胞肺がんに適応拡大されたがん免疫療法薬「オプジーボ」(一般名ニボルマブ)による薬剤費が年間1兆7500億円に上る可能性がある、と指摘したこと。財務省審議会での発言だけに衝撃は大きかった。日本の医療費は約40兆円。1疾患に対する1薬剤で1兆7500億円もの財政インパクトがあるとすれば、薬剤費が「国を滅ぼす」恐れも現実味を帯びる。

    日本医師会の横倉義武会長は6月、会長3期目の所信表明でこの問題に言及。「患者や医療者の思いに寄り添いながら、中医協の判断を高めていかなければならない」とした上で、「新たなルールやガイドラインを作り、費用対効果にも見合った適正な処方や使用に務める必要がある」と指摘した。

    國頭氏のオプジーボを巡る発言要旨

    日本の非小細胞がん患者は10万人強、5万人に1年間使用すると1兆7500億円の薬剤費、シミュレーションでは「6000億円〜8000億円」

    有効率は20〜30%

    有効な集団が特定できない

    やめどきがわからない

    1疾患に対する1薬剤でしかない

    ハーボニー、ソバルディ効果で医療費増

    高額な薬剤は2000年代に入り続々と上市されてきた。昨年にはC型肝炎治療薬「ハーボニー」「ソバルディ」が薬価収載。年間売上が1000億円を超えるなど「売れすぎた」ため、特例拡大再算定として31.7%の薬価引下げが行われた。表1は16年4~6月の医薬品の売上(薬価ベース)ランキング。薬価改定で大幅な引下げがあったにも関わらず、ハーボニーが1位、ソバルディは5位に入っている。

    図2は昨年7~11月の入院外医療費と抗ウイルス薬の対前年比の推移を示したもの。ハーボニーなどの影響で9月以降、ともに伸びが加速していることがわかる。この医療費にオプジーボの非小細胞がんへの適応拡大による影響は反映されていないが、今年4月~6月の売上高では3位に入っており驚異的な伸びを示している。今後の医療費に大きな伸びとなって表れることは確実だ。

    残り1,461文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top