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「“頭蓋内にシュカン動脈”、医師では考えられない」 - ディオバン事件公判

No.4818 (2016年08月27日発行) P.11

登録日: 2016-08-27

最終更新日: 2016-10-30

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ノバルティスファーマ社の降圧剤バルサルタン(商品名=ディオバン)の論文データを改竄したとして薬事法違反(虚偽広告)の罪に問われた同社の元社員、白橋伸雄被告に対する公判が18日に行われ、Kyoto Heart Studyの筆頭著者、沢田尚久氏(元京都府立医大講師)の再尋問が行われた。
検察は、白橋被告から押収した「KHSデータラスト」と名付けられたデータについて質問。試験参加医師が症例を入力した「WEB入力データ」にはない記載が複数加筆されていることを具体的に確認した。
このうちの1例では、WEB入力データではイベント欄、特記事項欄ともに記載がないにもかかわらず、押収データでは「脳梗塞発症、MRI、シュカン動脈狭窄、下肢麻痺」と記載が変更されていた。検察が沢田氏に「記載変更の指示や相談を被告人にしたか」と質問したのに対し、「決してそういう事実はない」と否定。その理由として、「頭蓋内にシュカン動脈という血管は存在しない。医師では考えられない表記」などと強調した。
一方、弁護側は沢田氏がKHS論文でコレスポンディングオーサー(責任著者)として名前が記載されていることに言及。「論文の責任者は誰か」と質問したのに対し、沢田氏は「(主任研究者の)松原先生。内容について逐一相談していた」と答え、松原弘明教授(当時)の指示により、責任著者になったと説明。弁護側から「松原氏は、論文の最終責任者は沢田氏と言っている」と伝えられると、「私に責任者を務める能力がないのは誰の目にも明らかだ」と反論した。

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