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慢性骨髄性白血病におけるチロシンキナーゼ阻害薬中止の現状 【第2世代TKIをファーストラインに用いることで,投与中止可能患者が増加】

No.4776 (2015年11月07日発行) P.55

高久智生 (順天堂大学血液内科准教授)

登録日: 2015-11-07

最終更新日: 2016-10-26

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2001年のイマチニブ登場以降,慢性骨髄性白血病(CML)の治療は大きく進歩し,現在多くの患者で深い寛解が得られ,チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)の中止は臨床家にとって現実的な選択肢となった。しかし,分子生物学的完全寛解(CMR)喪失を再発の基準とした場合,24カ月以上CMRを維持した患者でも,中止後1年以内に約60%で再発することが複数のSTOP試験で示された(文献1)。
このため,患者の同意のもと約40%の確率に期待し,STOP試験に登録するか,BCR-ABLトランスクリプトを頻回にモニタリングしながら,一部の患者でTKIの中止が試みられている。現状でSTOP試験に参加できるのは慢性期CML患者の約40%程度と見積もられているが(文献1),早期の寛解達成により予後の改善が報告(文献2)されている第2世代TKIをファーストラインで用いることで,治療が中止できる患者母集団自体が増加することが予測される。さらには治療再開の基準をCMRの喪失から分子生物学的大寛解(MMR)に下げることで,今後はより多くの患者でTKI中止が可能となる可能性がある。
現在,意欲的なTKI STOP試験が国内・海外ともに複数行われており,その結果により,どの患者でTKI投与の中止が可能か? という多くの臨床家が持つ疑問に対する答えを導き出す手がかりが得られることが期待されている。

【文献】


1) Mahon FX, et al:Lancet Oncol. 2010;11(11):1029-35.
2) Marin D, et al:J Clin Oncol. 2012;30(3):232-8.

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