株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

職場における騒音性難聴の予防

No.4770 (2015年09月26日発行) P.58

堀江正知 (産業医科大学産業保健管理学教授)

登録日: 2015-09-26

最終更新日: 2016-10-26

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

騒音とは主観的に耳障りな音を意味し,聴取妨害,聴力低下,心理的ストレスを生じさせる。音圧の大きな音は蝸牛の有毛細胞を疲労させ,一過性聴力閾値変化(TTS)が生じる。TTSは曝露時間の対数に比例して発生し,騒音より1/2オクターブ高い周波数帯で生じ,繰り返すと難聴が生じる。蝸牛で微小循環障害を生じやすい4000Hz付近(c5近傍)の聴力が障害されやすい。騒音は3000Hzをはじめ高周波数帯で有害性が強く,振動の併存,喫煙,交感神経の緊張は障害を助長する。
難聴の初期は会話を障害しない。フルオージオグラムのdipは曝露音によりc5以外でも生じる。労災は,離職時に85dBA≦の騒音に5年以上の曝露歴があり,6分式平均聴力レベル値で一耳でも40dB以上ならば,最高明瞭度も評価し,4~14級の障害に認定する。聴力保護には関係法令や指針の厳格な適用が有用とされる(文献1)。わが国の騒音職場には6カ月ごとに等価騒音レベルの測定義務がある。日本産業衛生学会は,10年間の常習的曝露で聴力低下が≦1kHzで10dB,2kHzで15dB,3kHzで20dBを超えないように,85dBAで8時間,88dBAで4時間など,3dBAごとに曝露時間を半分に制限する許容基準を勧告している。
職場改善として,機械の低騒音化・清掃・注油・密閉,防振ゴム取付,共鳴防止,消音器や遮音板の設置,居室の遠隔化・防音化を行う。作業改善として,時間短縮,交替制導入,防音保護具の選択と装着の教育を行う。近年,遮音性の高いイヤホンが開発されている。作業者には,禁煙,生活騒音(パチンコ,ヘッドホンなど)の回避を指導する。

【文献】


1) Verbeek JH, et al:Cochrane Database Syst Rev. 2012;10:CD006396.

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

関連物件情報

もっと見る

page top