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受動喫煙防止対策

No.4751 (2015年05月16日発行) P.52

圓藤吟史 (大阪市立大学産業医学・都市環境医学教授)

登録日: 2015-05-16

最終更新日: 2016-10-26

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受動喫煙の有害性は1981年に発表された平山雄の論文を皮切りに,世界で広く認められている。たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約が2005年に発効し,わが国を含め各国で規制が強化されてきている。
わが国での職場における受動喫煙防止対策は,1992年に改正された労働安全衛生法に基づき,快適職場形成の一環として進められた。1996年に「職場における喫煙対策のためのガイドライン」が策定され,2000年に喫煙対策担当者等に対する教育の実施方法が示された。2003年に施行された健康増進法を受け,同年に新ガイドラインが策定され,受動喫煙防止対策として全面禁煙,空間分煙が勧奨された。第12次労働災害防止計画においては,2017年までに受動喫煙を受けている労働者の割合を15%以下にする目標が掲げられた。
2014年の労働安全衛生法改正で,室内またはこれに準ずる環境下において労働者の受動喫煙を防止するために,事業者および事業場の実情に応じ適切な措置を講ずることが事業者の努力義務とされた。適切な措置の例として,全面禁煙,喫煙室の設置による空間分煙,たばこ煙を十分低減できる換気扇の設置などが挙げられている。
前回の法案では,すべての事業者に職場の全面禁煙または空間分煙を義務化し,例外として飲食店などは当分の間,たばこ煙を一定の濃度以下に保つ,または一定量以上の換気を行うことでも可としていたが,努力義務とされた。
禁煙運動活動家からみれば生ぬるい対策ではあるが,事業者による自主的な取り組みを推進して目標が達成されることが求められる。

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