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新薬開発へ武田薬品と共同研究契約 [京大iPS細胞研究所]

No.4748 (2015年04月25日発行) P.7

登録日: 2015-04-25

最終更新日: 2016-11-21

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京大iPS細胞研究所(CiRA、所長=山中伸弥教授)と武田薬品工業は17日、都内で記者会見を開き、iPS細胞の技術を応用した新薬開発を目指し、10年間の共同研究契約を締結したと発表した。
共同研究に当たり、CiRAはiPS細胞の関連技術を提供。武田薬品は今後10年間にわたり研究費200億円と神奈川県藤沢市の研究所を提供する。研究所では10程度のプロジェクトを設置。山中氏の指揮の下、双方の研究者計100人程度で研究を進める。
会見に出席した山中氏は、「iPS細胞を用いた創薬で欧米に先を越され忸怩たる思いがあった。これを機にiPS細胞の医療応用を加速させ、日本の産学連携の促進にもつなげたい」と意気込みを語った。

●前臨床で治験と同等の安全性評価
山中氏によると、研究の詳細は未定だが、糖尿病、心不全、精神疾患などの患者から作製したiPS細胞に武田薬品が保有する新薬候補物質を投与し、安全性を評価することを考えているという。
この手法の意義について、山中氏は「現在の創薬研究は、マウスで有効性が認められなければ人での試験に進めない。しかしマウスには無効でも人に効く物質はたくさんあるはず。iPS細胞を使えば、前臨床の化合物であっても大規模治験を実施したのと同等の薬剤安全性評価が可能になる」と説明した。

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