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「『週刊現代』の薬批判記事をどう考える」 [長尾和宏の町医者で行こう!!(66)]

No.4823 (2016年10月01日発行) P.20

長尾和宏 (長尾クリニック)

登録日: 2016-10-03

最終更新日: 2016-10-06

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  • 薬を批判すれば売れる理由

    『週刊現代』が、薬の批判記事の特集をし続けている。約3カ月間にもわたり同じテーマで特集を組むのは異例のことで、それだけ読者の反応が大きいのであろう。実際、発売されるや売り切れているコンビニや駅の売店が多く、かなり売上げ部数を伸ばしているようだ。

    当初は、高血圧や高脂血症、糖尿病などの生活習慣病治療薬の批判が中心であった。しかし対象は薬剤にとどまらず、手術、そして在宅医療や病院医療へと及び、ほぼ医療を全否定するような内容になっている。ライバル週刊誌はこれに素早く反応し、『週刊現代』批判や、逆に医療賛美記事を書くという展開になっている。

    『週刊現代』の記事がここまで大きな話題になった最大の理由は、薬の実名を挙げて記事が書かれたことだろう。たとえばミカルディスやクレストールなどの汎用薬の商品名が実名で掲載された。新聞広告や電車の吊り広告にまで薬の実名が載ったことは初めてではないか。多くの人が「ああ、この薬なら飲んでいる!」と驚き、大きな関心を寄せることになった。医師と違い患者さんの関心は主作用より副作用のほうにある。たとえばスタチンの横紋筋融解症という副作用はあまりにも有名だが、何万人に1人という頻度なので診たことがある医師は少ないだろう。『週刊現代』の記事はその何万人に1人の副作用を強調する一方、メリットとの比較はない。あまりにも粗い記事であるが、患者さんはそれに関する医師の本音を聞きたいのだ。副作用情報なら調剤薬局が発行する薬の説明書にも詳しく書かれているのだが、本音の情報を欲しているのだろう。

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