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【識者の眼】「逆紹介の大チャンス、新型コロナワクチンはかかりつけで」細井雅之

No.5068 (2021年06月12日発行) P.64

細井雅之 (大阪市立総合医療センター糖尿病内分泌センター糖尿病内科部長)

登録日: 2021-06-03

最終更新日: 2021-06-03

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ようやく東京都、大阪府で高齢者対象集団新型コロナワクチン接種が5月24日から始まった。もっと集団接種会場が増えてくれればと思っていた。ところが、外来通院の患者さんからは不人気であった。「集団接種会場に行くのは怖い。遠い。予約がわからない」。逆に「かかりつけ医で予約がとれて安心。近くていい」という声を多く聞く。今こそ、かかりつけ医をつくってもらう大チャンスである。当地区では、DM net ONEという糖尿病地域連携の会を2008年から開始し、逆紹介を進めようとしているが頭打ちであった。新型コロナワクチン接種は大病院では行わない。これがチャンスである。「ワクチンを打ってもらうためにも、かかりつけ医を持ちましょう」と、逆紹介を勧めている。

もうひとつ、かかりつけ医を持つことの重要性を感じているのは、コロナ感染時の自宅療養である。第4波における「医療逼迫(政府は否定するが医療崩壊)」での自宅死亡。診察も受けられずに若い方でも亡くなっている。「大阪府第4波自宅で17人死亡」朝日新聞5月11日、「感染者全員へ連絡無理、自宅療養ではなく放置」朝日新聞5月20日、「大阪の待機ステーション、入院待ち最長51時間」朝日新聞5月21日と、ようやく報道されだした。本欄5月22日号で池尻真康先生が提言されているように、かかりつけ医があれば「自宅放置」になることも減らせるのではないかと思う。かかりつけ医がなければ、保健師からかかりつけ医を紹介してもらうという池尻先生の提言にも大賛成である。

このパンデミックの時こそ、かかりつけ医のありがたさを感じてほしい。

細井雅之(大阪市立総合医療センター糖尿病内分泌センター糖尿病内科部長)[病診連携⑩]

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