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特養・老健のコロナ陽性者をどう診ていくのか[長尾和宏の町医者で行こう!!(120)]

No.5060 (2021年04月17日発行) P.56

長尾和宏 (長尾クリニック院長)

登録日: 2021-04-06

最終更新日: 2021-04-06

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特養・老健が空白地帯に

本稿を書いている4月5日、筆者の診療所がある尼崎市は「まん延防止等重点措置」の地域に指定された。4月4日日曜日の発熱外来に、39.2度の発熱だけを訴える30代の人が受診。果たしてコロナの抗原検査は陽性であった。第四波においては若者世代にも感染が蔓延していることを肌で感じる。今後、若者から高齢者への家庭内感染や施設内感染の増加が予想される。

さてこの1年間、全国の特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)におけるクラスター発生がマスコミを賑わせてきた。そのため1年以上の長期間、面会謝絶と外出禁止が続いている施設もある。その結果、入所者のフレイルや認知症がさらに深刻化している。一方、現在、フランスで行われている3回目のロックダウンは「閉じ込めないロックダウン」だという。日中は自宅から10km以内であれば、何時間でも散歩や運動ができる。筆者は1年前に「歩くだけでウイルス感染に勝てる!」(山と渓谷社)という5冊目となる歩行本を書いた。「ステイホーム」ではなく「ステイホームタウン」であるはずだと。当初はバカにされたが、1年経った今、地球の裏側では立派な国策になっている。日本もそろそろ「過度な自粛による弊害」に目を向けるべきではないだろうか。ステイホームすればするほど自然免疫は低下する。

そもそもコロナに感染して死亡率が高い世代は圧倒的に高齢者である。特に介護施設において陽性者が発生した時、どう対応すべきなのか。指定感染症なので全例入院なのか、施設で療養してもいいのか。認知症で入院できない要介護高齢者はどうすればいいのか、保健所の指示待ちだろうか。それとも特養には嘱託医が老健には管理医師が配置されているので彼らが采配するべきか。1年経っても明確な指針はない。コロナ対策において特養・老健における陽性者への具体的対応は空白地帯である。本来、コロナ医療はそこに焦点を当てるべきなのだろうが、国はそこに手をつけないまま第四波に突入してしまった。

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