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コロナ禍に伴う認知機能悪化と「シャムズ」[長尾和宏の町医者で行こう!!(112)]

No.5025 (2020年08月15日発行) P.54

長尾和宏 (長尾クリニック院長)

登録日: 2020-08-04

最終更新日: 2020-08-04

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介護施設は再び監禁状態に

新型コロナウイルスの第二波が地方にも広がる中、再び医療崩壊が懸念されている。今回、コロナ禍に伴う「認知症悪化」と「シャムズというメンタル不調」について述べたい。

感染者の7割は若者であるが重症化リスクが高いのは高齢者である。そのため特に高齢者施設においてはクラスター発生や集団感染を過度に恐れるあまり、入所者はたとえ自立している人でも監禁状態になっているところを見かける。多くの病院も再び面会謝絶になっているが、高齢者施設では面会だけでなく一歩も外に出られないので入所者に相当なストレスがかかっている。本人の意に反して閉じ込められると必ず認知機能が悪化する。高齢者はなおさらである。中等度以上の認知症の人はそもそもコロナ禍が理解できない人もいるが、それが理解できる人への監禁は認知症悪化の最大要因となる。

施設内感染防止のために「移動という尊厳」を犠牲にすることはある程度仕方がないかもしれない。しかし日中に中庭で日光浴をしたり、人通りの少ない道や公園を散歩するなど代替案を示し実行するべきである。残念ながら「移動という尊厳」に配慮できる経営者や介護スタッフは現時点では少ないようだ。

秋以降、インフルエンザとコロナの同時流行が懸念されている。そうなると監禁がさらに長期間に及ぶ可能性がある。すると当然のことながら、コロナ死よりも監禁による認知機能悪化、サルコペニア、フレイル、ADL低下、そして誤嚥性肺炎のほうが多くなるのではないだろうか。現時点でも既にコロナ死よりも自殺者のほうが多いのではと噂されている。今後、コロナ死よりも増えるであろう「コロナ関連死」のほうが気になって仕方がない。後者は時間をかけて進行するので、それなりの対応が可能である。そのためにはコロナ禍が及ぼしているストレスを想像する力が必要だ。

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