株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

新型コロナウイルス感染症対策は地域包括ケアのフェーズに[長尾和宏の町医者で行こう!!(107)]

No.5004 (2020年03月21日発行) P.56

長尾和宏 (長尾クリニック院長)

登録日: 2020-03-10

最終更新日: 2020-03-10

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

PCR検査の是非、再び

2020年2月3日、ダイヤモンド・プリンセス号が横浜港に入港した。それ以降、新型コロナウイルス感染症の関心はクルーズ船に向き、マスコミ報道は水際対策一色になった。しかし最終的に、約3700人中700人の感染者を出した。明らかに集団感染が起こり船内での隔離政策は失敗に終わった。そんなクルーズ船狂騒曲から1カ月が経過した3月8日現在、感染者数は増え続け、PCR検査が国民的関心事になっている。政府が「検査を保険適用にする」と宣言したが、実際はあまり検査ができない状況をマスコミは日々糾弾している。しかし医師はPCR検査の感度と特異度、検査の限界を知っている。治療法がない風邪症状に偽陰性率が高い検査をすることにどれほどの意味があるのだろうか。陽性者が出た医療機関には濃厚接触者というレッテルが貼られ、2週間の隔離生活に入ることになる。先日私は、両側の肺炎と酸素飽和度低下を認める中年の初診患者を診たので帰国者・接触者相談センターに電話したが、つながらない。つながっても「検査できる医師がいない」の一点張りである。結局、自分の携帯番号を教えて自宅に隔離して家族には疎開してもらっている。あたかも市民は「全員に検査ができる」と思っているが実態はすでに医療崩壊している。

実は2009年の新型インフルエンザ騒動の時もPCR検査を巡る混乱があった。今回の騒動はまさに前回のデジャブである。マスコミは希望者全員にPCR検査で白黒つけることを煽るが、新型コロナウイルス感染症は、感染症法に基づく「指定感染症(二類感染症相当)」に指定されており開業医での検査は難しい。そもそも多くの開業医はマスクの確保すらままならない。そんな検査を巡る混乱は、新型コロナウイルス感染症を市中感染症と判断して二類からインフルエンザと同様の五類感染症に下げれば解消する。まだクラスター感染と言われている。しかし時期がくれば法的根拠を変えることでPCR検査を巡る混乱の収束は可能だ。

プレミアム会員向けコンテンツです(期間限定で無料会員も閲覧可)
→ログインした状態で続きを読む

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top